外国人男性の謎の問いかけ –その2 –(2013年44歳)
「たわわぬいぐるみ黒リュックを背負う、Tシャツ白人男性(←特徴が多すぎて呼称が長い)」との遭遇(※詳しくは、前回のその1をご覧ください👇)から、約5ヶ月後。
今度は「盛夏の午後の超絶な暑さ」という人生最大の鬼門にやられながら、地元駅近くの大型家電量販店を訪れた。
さて、これからエレベーターで8階に向かうのだが、今回はいつもの「ルート上便利な地下1階」や「駅直結の2階」からではなく、珍しくちょっと行きにくい1階から乗る。
と言うことで、待つことしばし。ようやくやって来た空のエレベーターにライドオン。……したところ、突然バタバタと駆け寄る足音がして、白人男性1名と男の子2名(小学校4年生くらい)が、我も我もとどっさり乗り込んで来た。
私は素早く8階を押したのち、左奥に下がって彼らが階数ボタンを押すのをボンヤリ待った。
次にボタンを押し終えたのは、白人男性。私の右手前方に立った。
推定年齢20代後半。ちょっと色あせたTシャツにデニムパンツというラフなスタイルである。
そして、彼が背負う黒のリュックには……ゲームキャラクターらしきぬいぐるみが、これでもかと大量にぶら下がっていた。
『……あぁ、なんか前にも見たような光景だな……。でも、この人じゃなかった……』
私は過ぎ去りし春の日を漠然と想起した。が、「ゲーム売り場は6階だよ!」という賑やかな声で、即座に現実に引き戻された。
声の主は男の子たち。フロアの案内板を見ながら確認し合い、6階ボタンを押そうとしている。
しかし、既に光っていたので、ホッとした様子で静かに私の前に立った。
同時にドアもクローズ。ようやくエレベーターは上昇を始めた。
途中、4階でドアが開いた。しかし乗る人が居ない。きっと誰かの押し間違いか、押したけど乗らないことにしたのだろう。
ボンヤリ閉まるのを待つ。……とその時、男の子たちがキョロキョロとドアの外を窺い、ためらいがちにエレベーターから片足、一歩と飛び出した。
そこで私はハッとした。『あっ!彼らったら、6階だと勘違いしとる!』。
反射的に声が出る。「まだ4階だよ!」(←老婆心)。
瞬間、明らかに「ハッ!」とした彼ら。パタパタと慌ててエレベーターに戻り、「違うじゃん!まだ4階だよ!」などと照れながら小突き合い、閉まったドアの前でワチャワチャとじゃれ合った。
そんな彼らを微笑ましく眺める私。
しかし、その視野の隅には、気になる視線圧が……。
そう、何故か白人男性がこちらをガッツリ向き、まじまじと私を見ているのだ。
『な、何だろう……』
内心身構えながらも澄まして前方を見ていると、彼は出し抜けにカタコト日本語で話しかけてきた。
「オバサン、コレ、ヤルカ?」
コレと指さしたモノ。それは、例の大量のぬいぐるみ達であった。
『………は!?』
私は、“オバサン” という刺さるワードに衝撃を受けつつ、今何故このタイミングでこのような打診を受けたのかにも困惑しつつ、軽く頭と手を横に振って「イラナイ、ダイジョウブ」と即答。
男性はそれをあっさり受け流し、ちょうど到着した6階で小学男子とともにドッと降り去っていった。
「………………」
ひとり呆然と立ち尽くす。
『え?なんで急にぬいぐるみを勧められた?』『春の日の白人男性の時と言い、私ってそんなにあの系統のぬいぐるみが好きそうに見える?欲しそうオーラ出てた?』『……で、オバサンて!!(まあ、そうだけども……)』
前回の白人男性を遥かに越えて来たナゾ言動に、充満し続けるモヤモヤ。
それらを晴らすべく、今回脳がひねり出した解釈。
『男性は、私のことを男の子達の母親だと勘違いして、「あなたの子供のためにぬいぐるみをあげようか?」という気持ちで勧めたのかもしれない。そしてきっと彼の脳内では、「母親=おばさん」という日本語変換だったに違いない!きっとそうだ!』
……もうそうでも思わないと、連日の暑さで弱り切っている私は、この先やっていけそうになかったのである……。
いやーそれにしても、「白人男性×20代後半位×Tシャツ・デニムパンツ×黒リュック×大量のぬいぐるみ×カタコト日本語」の見事なシンクロ率よ……。
そして、このエンカウント率は何なんだ。偶然にも程がある。どうして出逢ったんだ。引き寄せる要因がなにか私にあったのか?
事あるごとにそんなことを思い出しては、モヤモヤを吹き返したりなんかする私なのであった。
余談
前回の白人男性との出来事で学んだ、『ならば、今後は自分が興味の無い事には、1ヘルツたりとも心の周波数を合わせないようにしよう!』は、結局今回生かされなかったのである。何故なら、あまりに同じシチュエーションすぎて、前回のことを想起してしまったのだから……。
私もまだまだである(くーっ涙)。