最近の読書(2024年9月)

遅くなりましたが9月に読んだ本の感想を少しだけ・・・


ともぐい(河崎秋子)

河崎秋子著『ともぐい』を読んだ
いつ予約したかも忘れていた本を ついに借りられたパターン
なんとなく熊の本だという程度の認識で読み始めた

およよ・・・
これまでにない読書体験

まず僕は 主人公にも その他街で暮らすキャラクターにも 
誰にも特に共感はしなかった
にも関わらず この主人公が・・・何かしらんけど すごい好きだ
彼のメンタリティかな? 何か魅力的なのだ
(嫌なんだけどね 彼の選択とか 物語の終わり方とか・・・)

自分には こんなストイックな考え方、生き方はできない
だからこれは ある意味 憧れなのかもしれない
ん〜 でも なれたとしても 絶対こうはなりたくない
(なりたくない憧れ?)
絶対に知り得ない境地 遠すぎる境地
その距離を そのまま憧れだと錯覚する感じ?(自分でもよくわからん笑)

でも それだけだと 興味もてないな・・・で終わっちゃうと思うんだけど
この話の持つリアリティがすごくて・・・
それが こんなに共感できない(あくまでも僕にとっては)
主人公の魅力を高めていると思う
理解できないもの 分からないもの 自分にはないもの
それをリアルに説得力を持って描いてくれている
こうやって”知らない”に対して興味をもつことが
人間の共感力を育てるのではないかと思う 何の話?笑

ちなみに 偶然にも 直前に読んだ 『ヨモツイクサ 』(知念実希人著)も
ちょっとした 熊小説だった こういうことってよくあるよね
こちらも まあまあ楽しめました(内容は全然違います)

あやうく一生懸命生きるところだった (ハ・ワン/著 岡崎暢子/訳)

これはよかったわ・・・
こういうエッセイって 合う合わないがあると思う
そして僕は結構ピッキーだ
はまらなければ 
な〜んかみんな同じようなこと言ってるな〜で終わっちゃう
普遍的な言葉ほど 人の心を動かすのって とても難しいと思う
だから まず自分に合う=著者の考え方に共感できるか
その上で説得力があるか=本当に著者が心から語っているか
この辺りが うまくハマらないとねエ
この本を読んで 特段 何か新しい発見があったり
変わった言葉を見つけた訳ではないが
読んでいて とても気もちが楽になる 優しい本でした 大好き

それで『死にたいけどトッポッキは食べたい[1] 』(ペクセヒ/著 山口ミル/訳)も読んでみたけど これは ハマりませんでした
僕みたいな 未熟な人間は 読んでいて ちょっとしんどかった・・・

ある行旅死亡人の物語 (武田惇志 伊藤亜衣)

ルポは 普段読むジャンルの読み物ではないが・・・
まーーーーーーーーあ おもしろかったな
一個人が一個人に対して持てる興味の量について
考えさせられる というか・・・

当然だが この記者らと この”ある行旅死亡人”は 全く関係のない他人だ
人生で何の関わりも持たなかった それにも関わらず (仕事とは言え)
彼女の死後 関連のある土地を巡り 関係者に取材をし
少しずつ その人の形が見えてくる

僕は 自由をとっても大切にしている
人から詮索をされたり 勝手な印象を持たれたりすることを
とても嫌う 誤解されるくらいなら理解されたくない
だから孤独なのだ

そんな人間からすれば もし自分が死んだ後に
こんな風に 勝手に身辺を調べられたりするのは 絶対にやめて欲しい笑

でも それと同時に
自分は自分の物語の中にいすぎて 
セルフ井の中の蛙状態(?)になっているとも感じる

例え他人から見た自分の人生が 自分の思うソレとは違っていても
それも また真実なのだ(なんかミスチルみたいになった笑)

だからフィクションもノンフィクションも事実も小説も
本当はそれらの間に境界線なんてないと思う

そういう意味で このルポは
ああ 人間っていう やっかいな生き物 その人生とは何かを探る
そのこと そのものなんだなと感じた

邪な気持ちだけでは読者に何も伝わらないと思う
世の中は あえて大雑把に言ってしまえば
似たような境遇の人 似たような記者 似たような記事で溢れていると思う
それでも このルポが これだけ考えさせる内容になっているのは
やはり 著者たちが真摯な情熱を持っていることが伝わるからだと思う

その他

他にも色々と読みはしたが
最近 どんどん おもしろそうと思っても 読めない本が増えてきている
打って変わって 予想外の物をおもしろく感じることが増えた
例えば 昔ほどミステリーをおもしろく感じなくなったし
ホラーも かなり限定的な範囲でしか 受け付けなくなってきた

どんどん 考えるのが面倒臭くなってきている気もする笑
謎解きとかしたくない・・・
考察とかどうでもいい・・・
まあ それは悪いことじゃないよな
読書なんか ただのエンタメだし・・・
楽なのが一番 楽に何かを学べたり 気持ちが楽になったり 
新しい発見があったり

だから これらのハードルを超えて琴線に触れる文章って
本当にすごいんだと思う
読者の努力なしに(読むだけで)エンターテインするって・・・ねエ

・・・って いろいろ書きはしたけど 最終的には好みだし
人生のタイミングによってマインドセット変わるし・・・

そう考えると
一生で出会える物語の量って(本だけではなく 人間や動物や生物も含め)
限られてるよな

なんか だらだらタイピングしてたら 脳内垂れ流し状態になってた笑

つーことで かなり迂回したけど・・・
ホラーだと 今は澤村伊智さんが好きだし
貴志祐介さんはずっと好きだし(同じ本ずっと再読してる)
でも ホラーに限らず短編は読めなくなってきた(すぐ終わるから消化不良)
漫画はほとんど読まないけど『遠浅の部屋』(大橋裕之著)は良かった
『二木先生』(夏木志朋著)は もうちょっと続きが読みたかった
つまり 短編に感じる消化不良感と同じ
なんか せっかくいいキャラクターが生まれたのに
こんなに早く終わるのもったいないって思っちゃう
そういう意味で 僕は短編だと 乙一が好きだ
短編には短編の短さに収まるべき塩梅のキャラ造形があると思うから・・・

なんか垂れ流しすぎになってきたので 一旦ここで強制終了します

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