気付けば秋の足音がそこに
夕焼けを見ると胸がきゅっとする
あんなに汗ばんでいた気温が嘘みたいに冷えて、からりとした風が吹く度に季節の移ろいを感じます。
秋の夕刻が好きです。
晴れた日の夕暮れ、橙と青が混ざり合う空が大好きです。夕日を見ると、パンザマストが頭に流れたり、子どもたちの「また明日」がどこからか聞こえてくる気がします。
少しずつ街並みや木々が衣替えをはじめ、足元にかさかさと枯葉が横切っていくと、もうブーツを引っ張りださなくちゃ、と思います。
青から黄色へ、黄色から赤へ、鮮やかに変わっていく空や街並みに心躍るから大好きです。
鈴虫やカエルの声もいつの間にか聞こえなくなってしまい、あちこちにトンボが飛び回っていました。
夜の帳が落ちると、出番を待ちわびていたかのような満月が煌々と浮かんでいます。
夏が終わってしまう寂しさは、どうしてこんなにも忘れられないのでしょうか。
どうしてぼくたちは、あんなに苦しめられた炎天下を恋しく思うのでしょうか。
ぼくは、海が遠くなった気がして、なんだか寂しく思うのです。
夏の創作報告書
そんな今年の夏は、たくさん出来事がありました。
まず、今もステキコミック様にて更新・連載中の作品「黄泉の台所」の原作を書き下ろさせて頂く機会がありました。
舞台は死者の魂が集まる《黄泉の世界》。
食事や睡眠、恋愛も娯楽であり、意味を成さないこの世界で、ツユブキがちいさな定食屋を営む物語です。
生きる本質は、食事にあるとぼくは考えています。
たべることは生きること。
だれかと食べることは、だれかと生きること。
食と命をテーマに、あたたかく美味しい作品に仕上がっております。
死者に必要ない食事を与えるのは、ツユブキに限った話ではありません。
ぼくたちも、御先祖様にお線香やお供物をしています。
仏壇や遺骨に口がないのにもかかわらず、
ぼくたちが死者に「食事」を与えるのは何故か?
意味や諸説はたくさんあります。
けど、正しい意味や礼儀があるから食べ物をお供物している、というだけじゃないと思うんです。
そこには必ず現世を生きるぼくたちが、かつて同じ世界を生きていた人たちを想う気持ちが含まれています。
その気持ちを、食べることの意味を、「おなかいっぱい」を祈る理由を考えるきっかけになればいいな、なんて思いながら書いた物語です。
食欲の秋にピッタリですね。
おいしそうな料理がたくさん出てくるので、お腹がすいてるときに読むのはご注意ください……
STORYTOON
本作品は縦スクロールでイラストを中心に読み進めていく「ピクチャーノベル」形式で、活字が苦手な人はもちろん、なかなか本を読む暇のない方もお気軽にサクッとお読み頂けます。
通勤通学時間とか、空き時間とかにオススメ。
まさに新感覚ピクチャーノベルです。
現在、第5話まで掲載中です!
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