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30歳から自分と実母を切り離していった話 ③「アドラー心理学」

 タイトルは誇張かもしれない。
自我はあったし。それなりに楽しく子ども時代は過ごした。
ただし、母の庇護下で・・・。

母だって若い時は未熟だったよね

別に母を責めたいわけではない。
彼女も彼女なりの信念と子育ての苦悩があったと今なら理解できる。
専業主婦として、家族の生活とわが子たちが困らないようにと、自分を酷使してきたのであろう。仕事は頑張ってきてくれるが家では寝てばかりで動かない父を横目に、彼女は自分のキャパシティ内で子どもたちをコントロールする他なかったはず。
そのためには、子供たちに対し、自分が思う最大限の手助けを事前に施すのが一番良かった。そう、彼女自身の精神の安定のために。

 しかし、自分自身が、母親が自分を生んだ年齢になり、そしてそれを超えたことで、思う。
そのやり方を、私は絶対自分の子にはしない。と。

そして思う。あぁ、母も未熟だったんだなぁと。
いろいろ分からない中でもしっかりしなきゃって、頑張ってたんだろうなぁと。プライドの高い人だから、そんなの見せなかったけど。
でも、今は思う。親が未熟なのは仕方ないけど、子の私にとってそれは関係ない。

私はコントロールされることを拒んでもよかったのだ。

これが腹落ちするのに、とても時間がかかった。

嫌われる勇気

 30歳の頃、「嫌われる勇気」に出会った。
そう、幸福になるための哲学として超有名なアドラー心理学を世に広めた本。
私のような、他人の機嫌に左右されてしまう人、相手の主張に合わせてしまうような人、要は「自分よりも人のことばかり考えてしまう人」にはとてもおすすめ。
※ちなみに私の夫のように「人のことなんか気にせず自分主体で生きている人」にはあまり響きません。

 【ここから『嫌われる勇気』のネタバレ三昧です】
本の中で私が特に響いたのは「課題の分離」の考え方。

例えば私が「勉強しな」と子どもに言う。ここで「勉強してほしい」のは私の課題(希望)。「勉強する」かどうか決めるのは子どもの課題。なぜなら、「勉強しない」ことの結果を享受するのは子どもだから。
「課題の分離」のご法度は、自分と他者の間に引いた課題の線を越えて相手の課題に踏み入れること。
だからここでは、「勉強しなさい!」と怒って無理やり勉強させるのはNG。子どもの課題に踏み込んでいるから。

逆に、子どもが本当は今はゲームをしたいのに、親の意向を自然と汲み取って嫌々勉強をすることもNG。今度は、親の課題に踏み込んでいるから。
自分は自分の課題にだけ集中して、自分のやることを決めるだけで良い。相手が何を選ぶかなんて自分には分からないから。
(この例だと、強制せず、勉強するよう「勇気づける」のが良いとされる。でもそれが難しいよね。親子の相性とか子の性格とかあるしね。)

サクちゃんのプール理論

大好きな「となりの雑談」のポッドキャストで聞いた「サクちゃんのプール理論」。ここでは、自分の課題に集中することを、「自分のプールで泳ぐ」と例えていて、ものすごくしっくりきた。
私は他人のプールにばかり飛び込んできたなぁ、と思った。そしてプールの枠すら曖昧だから、他人も私のプールに無断で入ってきて、嫌な思いもしたりしたなぁ、と。
私には、自分を信じる力が足りなかったなぁと。。

そして生まれた自我

「嫌われる勇気」と、最近知った「サクちゃんのプール理論」を通し、自分の課題に集中することの大事さが分かった。
今まで、いかにできていなかったかも分かった。

私はいままで、人が好きで、周りの人とうまくやっていきたい一心で周りと合わせたり人の機嫌を読んだりしてきた。
でも、それに疲れていた。なんかちがうぞ?と思ってきた。(結構大人になってからだけど)
それは、自分と人との境界線が曖昧で、勝手に入っちゃったり、ときにはぐにゃーんと弛んで侵略を許したり、そんなことをしてたからだったんだ。

だから、やり方を変えることにした。
まずは自分のプールを自分のすきなものでいっぱいに満たして、そこで楽しく泳ぐことから始めるんだ。
人のプールに品なく入ったり、自分のプールに軽々しく人を入れることは、御法度だ。

30歳で「嫌われる勇気」に出会ってそこから5年。
時間はかかったし苦しかったけど、その分自分の血肉になった。

思考を転換してからはすごく楽になった。
他者の目や評価を気にして自分の行動を決めていた頃と比べたら、そりゃそうだ。
5年前の、母との関係に苦しむ自分に教えてあげたい。「そこを超えたら楽しいよ!」

世界はシンプルで、人はいつでも変われる。
そして世界を変えられるのは私だけ!
そう思えて初めて、私が生まれた気がした。
30歳にして誕生。おめでとう自我。

過去の私に夫が言う。
「自分しか自分の味方でいられないのに、なんでそんなに自分を責めるの?」
とてもナチュラル自我人間の夫は言う。
確かに、な・・・。

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