「ジェンダー・ニュートラルな保育」をのぞいてみよう
こんにちは!😁
みなさんは、「ジェンダー・ニュートラル教育が進んでいる先進国」がどの国かご存知ですか?
それは「北欧」です。
『ジェンダー・ギャップ指数2020』では上位四カ国(アイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン)が北欧の国々を占めているんです✨
特にスウェーデンでは、1998年から教育法の改定により「ジェンダー・ステレオタイプの禁止」が定められたことで
教育現場において「個人の尊重」を重視し、「男の子だから」「女の子だから」という固定概念を生まない工夫と配慮がなされています。
今回は、スウェーデンにある就学前学校(日本で言うと、幼稚園や保育園のようなものですね)と
アイスランドにある幼稚園でどのようなことがなされているか、のぞいてみましょう♪(ちょこっと長くなるかも💦)
その前に、「ジェンダー・ニュートラル」という単語のおさらいから✨
♪♪♪
「ジェンダー・ニュートラル」とは?
男女の性差いずれにも偏らない考え方。
または、伝統的な性別による役割意識(例えば、男性は外で仕事、女性は家で家事や育児など)にとらわれない思考、行動、制度などを支持する考え方のことです。
今やこのような性差に対するフラットな考え方は、北欧をはじめ、その他の先進国でも広がりつつあります。
「男性だからこう」「女性だからこう」という狭い枠にとらわれてしまうことで、「男性でもこういうことができる」「女性でもこういうことができる」といった
幅広い可能性を見失ってしまわないように様々な国が取り組んでいるんですね☺
これから紹介するスウェーデンやアイスランドでは、そういった考え方が教育や保育にも反映され、実践されています。
♪♪♪
就学前学校 「エガリア」の取り組み
スウェーデンのストックホルムにある就学前学校の「エガリア」。
ここでは「男の子/女の子」という視点で子ども達を見ない、接しないという保育に徹しています。
具体的に挙げていくと次のようなことに取り組んでいます。
①園児の呼び方を名前呼びか中立的な代名詞「Hen」と呼ぶようにした
②園庭の構造を変え、遊び場を変えた(人形専用コーナーなどコーナーとして遊び場を句切り、男女で一緒に遊べるような作りにした)
③動物、恐竜、木、車などのキャラクターや人形・グッズなどを増やして、遊びの素材を増やし、どれでも手が届くようにした
④どの子ともスキンシップやアイコンタクトを増やした
⑤ニュートラルに表現するように心掛ける(女の子に対して「可愛い」男の子に対して「格好いい」といった言葉は使わないなど)
⑥女の子を主人公とする童話をお話したら、次週に男の子を主人公として同じ童話をお話して平等に接する
⑦他の子どもとの差別を避けるため、「すごくいい子!」と過剰に褒めないようにする
この他にも、男の子が「男の子だから泣くのを我慢する」女の子が「女の子だから怒りを我慢する」といったような性別による感情や行動の束縛がないように
教員は子ども達と関わっています☺
エガリアの創設者であるロッタ・ラジャリン氏は、「ジェンダー・ニュートラル」の視点の保育への想いについてこう述べています。
「男の子を女の子に、女の子を男の子にしようとしているのではない。どんな人も性別に関係なく、ありのままの自分でいる権利を持っていてほしいだけだ。」(ラジャリン氏談)
これは、「ジェンダー・ニュートラル」の視点を考える上で常に大切にしたい考えですね。
性別に対して「フラット」な考え方が「男の子を女の子に、女の子を男の子にさせる」ということではなく
大人が「一人の人間として」子ども達を見つめていくと同時に、子ども達には「それぞれがありのままの自分でいていい権利がある」ことを幼少期から知っていてほしい。
そういった想いが将来の子ども達を救ってくれるかもしれない。
それぞれが「自分」というものを意識して、性別関係なく多方面に活躍してくれるのではないか。
そんなことを思いますね☺
♪♪♪
アイスランドの幼稚園での取り組み
『ジェンダー・ギャップ指数2020』で1位を獲得しているアイスランドのとある幼稚園では、
あえて「男女分けクラス」を毎日設けることを大切にしているそうです。
1日の園生活の中で、男の子は「男の子クラス」、女の子は「女の子クラス」に分かれて
お絵かきや工作、積木、外遊び、室内遊びなど子ども達が取り組みたい活動に取り組みます。
創設者であるマルグレ氏は30年以上幼児教育に携わる中で「男の子には自立性」「女の子には社会性」が比較的高いと感じ、それぞれの遊び方の違いは
男の子ならでは、女の子ならではの「文化」のようなものだと考えているそうです。でも、男女が共に過ごすだけだとそこが発揮されづらい。
そこで「男の子」「女の子」分けを設けることでそれぞれの子ども達が「本来の自分らしさ」を感じながら過ごせるように配慮することにしたのだそう。
また、男女分けをするだけだけでなく、男女一緒に時間を過ごしたりカリキュラムに取り組むこともされていますよ✨
「男女分けクラスは、古いジェンダーロール(男女の役割分担)を無くしてくれる心強いツールです。」(マルグレ氏談)
「男女分けのクラスを作ると、その中では「女の子らしく/ 男の子らしく」といったものが必要ではなくなり、全てがありのままになる。問題なのは、社会で捉える「男性性」「女性性」が
狭い枠になってしまうこと。それはもっと流動的なはずです。狭い考えを持っていては、従来の性的役割分担に自分が当てはまらないと感じた人はどうなるでしょう。
私たちは、考え方を変える必要があります。」(マルグレ氏談)
男女特有の文化を尊重しつつ、子ども達の個性をのばしていきたい。男女が平等に暮らすためには平等の法律や理念だけでなく、幼少期に「自分らしく過ごすこと」と
社会が「男らしく」「女らしく」といった性的役割分担を押し付けないことが大切だと考えているマルグレ氏の教育理念は
日本の保育現場でも大切にしたいところですね✨
まとめ
さて!どちらの園の取り組みも個性が出ていて、大変興味深かったですね😁
日本の保育ではまだされていない取り組みばかりで、私もすごく勉強になりました!
そして、取り組み方法はそれぞれの園で違いますが、共通している大切な想いはありましたね✨
・「男の子/女の子」という狭い枠にとらわれた考え方を大人が変化させていく必要性
・子ども達は幼少期において「自分らしく過ごすこと」で「ありのままの自分でいる権利がある」ことを知り、そこから将来の幅広い可能性にも繋がっていく可能性が秘められていること
このように「幼少期だけ」にとらわれず、その先の未来に向けた配慮や指導ができるのは本当に素敵なことだと思います。
日本でも「幼少期」に保育に携わることは、将来も見据えた上での「子ども達の人間形成の基礎を培うこと」であり、
また保育所保育指針や幼保連携型認定こども園 教育・保育要領にかかれている「性別や個人差への配慮については、固定的なイメージに基づいて園児の性別などにより対応を変えたり、固定的な意識を植え付けたりすることがないようにしなければならない(原文ママ)」という文言が明言化されていることを考えると、こういった「一人ひとりがありのままでいる取り組み」というのは
隠されたカリキュラムとして置いておくには惜しい、「意味のあること」ではないのかなと感じます。
とは言え、これだけのことを今の日本で実現させるには法整備を整える必要や教育カリキュラムの見直しなども必要になってくると思うので
「エッセンス」として「今、どんなことが取り入れられるか?」という見方で読んでもらえたら嬉しいです✨
どの子ども達も今より「より良く幼少期が過ごせるように」「一人の人として自分を認めて生きていけるように」私たち大人ができることや変えられることはどんなことか
これからも絶えず考えて実践していきましょう♪
今回も長くなりましたが、ここまで読んでいただいてありがとうございます!
明日水曜日はお休みとさせていただきます💦
翌、木曜日の更新をお楽しみに!
にじいろmaa🌈
<参考URL>
・「スウェーデン 男女平等、ジェンダー教育」https://www.kamometour.co.jp/wp/2018/04/02/post-799/
・「世界で最も男女平等な国(2)世界が注目!あえての’男女分け‘幼児教育」https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/159/
・「男女を区別しない学校に通うと、子どもはどのように育つのか?」https://gigazine.net/news/20170620-preschool-environments-gender/
<引用文献>
・厚生労働省,「保育所保育指針解説」,平成30年2月,p295より抜粋
・内閣府,文部科学省,厚生労働省,「幼保連携型認定こども園 教育・保育要領解説」,平成26年12月,p264より抜粋