30分との付き合い方② 【feat.アメリカ50州覚え歌】
「笑い話になったらいいですよね」
就活中の相談先でそう言われた。
半分、笑って、半分、泣いた。
心の中で。
人の人生を勝手に笑い話にするんじゃない。自分の人生を笑い話に出来るのは、自分だけなんだ。他人がすることじゃないぞ、と声を大にしていいたい、のに、声を日頃だしてないので声が細い。
なのでnoteに書いておくことにしました。
ハラスメントを受けて退職したという相談の下りでこの言葉は飛び出した。いや、笑い話になってたら、相談になんて来てないって。初対面の人に言われた言葉に開いた口がふさがらなかったが、この人も悪気があって言ってるわけじゃないだろう。そうだろう。むしろ、そっちを信じたい。
そう思いなおして、目標として掲げた「アメリカ50州覚え歌」を安住さんといっしょに歌うのを楽しみに帰路についた。
👇️「アメリカ50州覚え歌」を習得する決意表明
＊
帰って就活の書類を整理していると、県外へ単身赴任中の夫から「歯磨き粉が特売入ってる！買っておいて！」と私の住む地域のチラシまでチェックし、私の近隣の店までご丁寧に教えた上で、買っておいてくれとお願いLINEが入った。
その週末帰ってくるのは分かるが、その歯磨き粉が目を見張るくらい安いのも分かるが、そのお願い、受けてたまわりたくない。
だけども、久しぶりに帰ってくる夫と歯磨き粉1つで揉めたくない。
翌朝の30分は、特売の歯磨き粉を買いに行き、ついでに夫と2人で食べる美味しい朝食のパンも買ってきた。
＊
30分を楽しく歌うつもりでスタートの準備をしていた、鼻息あらく。
だがしかし現実は、
半分、泣いて、半分、笑っている。
私は思い切って安住さんの低音Ver(ルイ・アームストロングver)をはじめから、ぶち込みたかったが、むせて声にならず泣きそうになりスタンダードを選択。
半分どころか、9割5分8厘泣いている。
覚えるのたのしいと言っておきながら、散々な30分のスタートをきってしまい、なんなら今日じゃなくてもよくないか？と自分に問いただしたいのに、真面目に生きてきた故に目標を掲げたらやりたくなるのが、真面目の生き様なんです。そうなんです。
泣きながらイントロが流れて、歌い出すとなぜ泣きながらアメリカ50州覚えてるのか更に泣けてきた。卒業式の合唱でも泣いた事がないのに、自分の人生に泣きながら自分を鼓舞し、己に酔いしれ、アメリカ50州を覚えたいがあまり一心不乱に歌う40代主婦。
演者もわたしなら、音響だってわたし。観客すらわたし。
劇団ひとりぼっちである。
もはや情緒不安定マン。
代名詞がありすぎて自分に困る。
安住さんがいなければ、私はたぶん30分心がもたなかった。
泣きすぎて頭が痛い、初日ムリをしすぎたらしい。明日はまず休もう。夫が帰ってくる。
それとも夫の前でこの歌を響かせてみせようか、いや、まだ覚えきってない。安住さんの言うコツの全てを習得し、味わいというものを醸し出したい。夫よ、ひとり時間の多い主婦の脅威というものを、とくと味わうがいい。
夫をぎゃふんと言わせたい。
もう2度と特売の歯磨き粉を県外から買ってくださいと変なお願いをしないくらいに、見事に歌いきってみせる。
そうなるまでこの姿見せてなるものか、美しい白鳥が水面下でどんなに足をバタバタさせていても、すんとした顔してるじゃないか。私だって人として白鳥を超えてみせる。
アメリカ50州を覚えることで夫に脅威をあたえてやろうかとか、なんだかだいぶ方向違いになったけど、大丈夫。
「笑い話にできたらいいですね」
前職のハラスメントされたことも、こんな風に昇華できたらいいのだけど、現在その気力はない。私にはまず覚え歌という任務があるので一心不乱に覚えます。覚えますとも。
歌を覚えた先に、その身から解き放たれ、みなぎる自信で、言った人を見返すという復讐劇が今、火蓋を切った。
無職が無力だと、思いなさるな。この涙は絶対ムダにはしない。ぎゃふんといわせるまでは。
泣いてたって、歌えると証明できた。
次は笑って歌ってみせる。
(#なんのはなしですか)
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