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#詩

黒い花

黒い花

一年前 背負っていた黒い花は
私の中に入って溶けた
一緒になって私がそれになった

誰でもよくってよ
どんな方でもよくってよ
あなたが脱いでしまう前に
その周波数を映し出すから
無防備に身についた 絡まった
糸が紡がれて布になって
隠しているなんてこと私にはないから

私はあなたが見える その胸の奥を見てる
あなただけを見てる
あなたは私を見てる
私が醸す 繊細な花の
でもただの一片よ
私も好きよ

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諸行

諸行

ああしんどいわ。
雨が洗い去った空。
色は直ぐに変わるってのに
私も見ているだけ。
来ないと思っていた中ぐらいの地震。
私をすんごく揺らがして
吐いてしまいそう。
もう離して。
なんの罪もない雑木に
彼がその影を落とした。
あの段ボールさえ楽しい話を
覚えているというのに。
ああ足元が定まらない。
ちょっと待っていてよ。
鳥の正しささえ
もう擦り切れちゃってアテにならない。
夢の中でさえ
頭が回り

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シャワー

あなたの言葉にベットしている 自分に気付く
あなたの発する言葉の端に
私との細い光が見えていた
私を離さなかった

もっと浴びせて
膝を突き合わせて
浴びせ続けて

その心の中の繊細な
あなたの人生を教えて
あなたの中に私も通して
その頭の中の鋭敏な
機知をもっとふり注いで
あなたも気づかないほどの
自然さでもって
空気をかき回して それでもう
私を離さないで

私のための

私のための

私は君とともに生まれて
初めて手を取ったのは君で
私には君しかいないと思うぐらいに
世界は厳しくて
でもその世界の中で
知らぬ間に君は
色んな所で生き続けていたんだ
世界に持っていかれたみたいだ

君は私の手に戻っておいでよ
厳しくて汚くて濁って乾いた
その世界のあらゆる手に
奪われたように見えた

私のためのものは
この頃はずっと見つからない
あらゆる人があらゆる人のためのものを
見つけ続けてい

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寄稿

寄稿

ウェブマガジン「高電寺」創刊号に寄稿しました。

テーマはフリーセックスでした。
三編の詩です。
感想など頂けたら嬉しいです。

セックス(における絶頂)は「主体」を脱する連続性への帰還欲求です。
超現実というべきか、もう一つの世界というべきか、への霊媒的行為であるかもしれません。
大事。

二編目「目隠し」はある種閉じられた環境なので直接的散文的な表現をしてみました。面白かったです。

私の記事

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