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400字小説

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記事一覧

一角獣 400字小説

一角獣 400字小説

前記事同様。400字ではないけどだいたい。

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その角に触れる。いつも冷たくて気持ちがいいのが安心させる。小説家になろうかしら。この一角獣が冷たいままでいることの理想を書いてしまおうか。それこそがプリンセスストーリーというものよね。母は扉の向こうでいつも手仕事をしている。まだ呼ばれない。私の氷の世界はまだ清いままでいられる。 なにも起こらない。時間が、止まっているのかしら。私が、一

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青の憂鬱 400字小説

青の憂鬱 400字小説

前記事同様。

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桜が咲き始めた。
僕の子供はこの蕾が膨らんでいくのが早くて目に見えそうなぐらい、早く成長しているのだろうかと、当てのない自分の腹をさすってみる。
歩いていると、自分がこの世で一人であるような気がしてくる。
桜並木は風景であり、何も意味してはくれない、僕を安易に満たしてくれるとは思えない。
春に子供を持つというのは、少し悲しいだろうか。春に僕の味方はいないように

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陽だまり 400字小説

陽だまり 400字小説

自動ライティングしてみた。自我を消して(減らして?)書く400字小説。

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洗濯物を干すのは僕だ。
一つ一つ、挟んでいると彼が話しかけてくる。
「彼女の下着は外側にかけておいて」
彼は煙草に火をつける。
爽やかな朝だ。
家の中に、コーヒーが淹れられる。家事は体を動かすので、生活が鮮やかになって好きだ。
彼女はコットンの白いスリップ姿で現れた。「今日は仕事が終わったらクラブに行く

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