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一角獣 400字小説


前記事同様。400字ではないけどだいたい。

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その角に触れる。いつも冷たくて気持ちがいいのが安心させる。小説家になろうかしら。この一角獣が冷たいままでいることの理想を書いてしまおうか。それこそがプリンセスストーリーというものよね。母は扉の向こうでいつも手仕事をしている。まだ呼ばれない。私の氷の世界はまだ清いままでいられる。 なにも起こらない。時間が、止まっているのかしら。私が、一角獣を止めたいと願ったばかりに。世界が、白んでゆく。意識が、私を離れてゆく。なにが起こっているの。私は、ガラスの動物園を愛でていた。それは、それまで動いていたのに。私は空気になってしまった。空気の、一粒一粒になって広がって、この部屋に充満している。ああ、冷たくて、白くて、心地いいかもしれない。ああ、冷たくて透明で、紳士なあなたはここにいるのね。あなたの角は、折れてもここにいるのね。安心したわ。ずっとここにいたい。漂って、世界を眺めている、なにも、私に影響しない。しばらくしたら、世界が動き始めたのね。音が、空気の粒を私に引き戻す。 角が折れないように、大事にとっておこう。



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また伝わらなさそう。意識の流れ。脱自己体験のようなもの。

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