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2024年1月 読書

1,今日はいぬの日/倉狩聡

飼い主一家に虐げられ、辛い日々を過ごす白犬のヒメは、流星群の夜、庭に落ちた不思議な石を見つける。 その石をなめたヒメは、なんと人間の言葉を話せるように。 ヒメは言葉巧みに、家族を操り始めるが……。

人語を話す犬が今まで虐待してきた人間たちに対し蜂起する…とざっとあらましだけを見れば、トンデモな作品にしか見えない。だけど最後まで読むと上手いこと丸めこまれて不思議と感動してしまう。ひぐらしのyouが脳内再生される。

前作も人語を話すカニだし、動物を対等の存在として扱うのが好きなのかな。おすすめです。かにみそとこの作品の2作しか書いてないらしいので、非常にもったいないと感じる。


2,ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~/三上延

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。

だが、古書の知識は並大抵ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも。彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。

これは“古書と秘密”の物語。

脱ラノベを掲げた文庫だった気がするんだけど、メディアワークス文庫を久しぶりに読むとラノベ寄りすぎると感じた。作者のあとがき文化なんて考えてみたらライトノベルくらいしか無いから懐かしさがこみ上げてきた。内容はわりと面白いくらいで、特にこれと言って語ることもない。

こういう文豪の作品を引用する作品を見るたびになんで通ってきてないんだろうと悔しくなる。じゃあ今から読むかと言われるとそうではないので、かまいたちのトトロ見たことない状態だ。詳しくもないくせに文豪ストレイドッグスみたいなのに対してはなんとなく忌避感を覚える。まったく嫌な奴だと思う。


3,スクラップアンドビルド/羽田圭介

「早う死にたか」
毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。
日々の筋トレ、転職活動。
肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して……。
閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!

なんか、なんだろうな。何とも言えない小説だった。誰も彼も全ては隠しておけない傲慢さが滲み出る。おじいちゃんへの当たりが中々キツくて読んでてちょっと辛くなった。実際のところ家族介護はこういうものなのかもしれない。

純文学というジャンルそのもの性質ももちろんあると思うが、投げっぱなしのまま終わるのは現実に起きている問題もまた一区切りなどなく、ただひたすらに地続きであるということを示しているように思った。



4,ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~/三上延

鎌倉の片隅にひっそりと佇むビブリア古書堂。その美しい女店主が帰ってきた。だが、入院以前とは勝手が違うよう。店内で古書と悪戦苦闘する無骨な青年の存在に、戸惑いつつもひそかに目を細めるのだった。

変わらないことも一つある──それは持ち主の秘密を抱えて持ち込まれる本。まるで吸い寄せられるかのように舞い込んでくる古書には、人の秘密、そして想いがこもっている。青年とともに彼女はそれをあるときは鋭く、あるときは優しく紐解いていき──。



5,ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~/三上延

鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連となった賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。人々は懐かしい本に想いを込める。それらは思いもせぬ人と人の絆を表出させることも。美しき女店主は頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読み取っていき ──。 彼女と無骨な青年店員が、妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは? 絆はとても近いところにもあるのかもしれない。あるいはこの二人にも。これは“古書と絆”の物語。

3巻まで読んで強く感じたのですが、やっぱりライト文芸って一般文芸の雰囲気のソレとは一線を画すものがありますね。ヒロインの胸元がゆるくて見えそうになる描写をたまに挟んできてこれ要る?とずっと思っていました。

甘露寺蜜璃に怒るフェミニストの気持ちがなんとなくわかったような気がします。確かになんか気持ち悪いかもしれんね。キッズたちにはたまらないんだろうが。

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