2023年4月 読書
最近Dreamsを読んでいます。全72巻で嫌な予感がしていましたが、やはり長すぎる。今読んでるくだりが新入生歓迎試合(2イニングで没収試合)で、この段階でもう5巻に入っています。先が思いやられるなぁ。
あと今更オトナ帝国の逆襲見たんですけど、妙にみさえがエッチに見えて仕方なかった。新たな発見だった。そんで普通に面白かった。
11,鍵のかかった部屋/貴志祐介
このシリーズ、尻すぼみになってる気がしてならない。助手の立ち位置である青砥純子という女弁護士が、初期の頃は結構な切れ者として進んでいたはずなのに巻を追うごとにポンコツと化している。
さあ事件の解明パートだ、というところでしゃしゃり出てきて的外れな推理を出してくるので、正直少し鬱陶しさを感じる。2作目から短編にシフトしたのもあって、主人公を引き立たさせるために、完全に舞台装置に成り下がっている。今作はトリック明かしを重視しているので余計にそう思う。
作者の他の作品と比べ、コミカル色が強く、そこまで陰鬱な雰囲気がないのは、新鮮に映って良いとは思う。悪の教典もそうだったが、最後にしょうもないギャグ回のような話を出してくる。ストレス発散か何か知らないが、雰囲気が白けるのを分かってでも出したい人なんだろう。
もしTwitterやってたら、不意にネタツイみたいなものを放り込んでくるタイプ。貴志祐介先生のそういうところも好きだ…。
12,少女には向かない職業/桜庭一樹
同じ作者の「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」(以下砂糖菓子)が最近トレンド入りして若干話題になっていましたね。鬱小説ランキングとかいう雑なくくりで1位にされてた。
あんまりそうやって囃し立ててほしくない。ファニーゲームとかも大きく分類したら鬱映画になるんだろうけど、胸糞悪いだけであれ全然面白くないし。単に構造を面白がってるだけだと思う。
どう面白かったかではなく、どれだけ陰惨であるかに意味を見出している。「変な作品見てる奇人」の肩書の獲得が目的にしか見えない。鬱っぽいのを見てるってひけらかすの普通に気持ち悪いことじゃない?内に秘めるからこそ良いものなのに。
脱線しすぎなので、ここらで本筋に戻ります。
ざっくり言うと先の「砂糖菓子」のifルートのように感じました。読み進めてるとすぐにほぼ同じだなと察せます。中学生女子2人がメイン、田舎という閉鎖されたコミュニティ、現実に嘆いてるものの庇護下であり簡単には抜け出せないということ。
相違点として、「砂糖菓子」の方は片方はリアリスト、もう片方はロマンチストになりきり、暗い現実を飲み込もうとした。かたや「少女には向かない職業」(以下少女)は、障壁を物理的に排除することで現実を変えようとする選択を取ってしまったと。
「砂糖菓子」は許される範囲内で理不尽に抵抗しようと試みたものの、結局どうにもならなかったが私は屈することはない。に対し「少女」は理不尽にそのまま理不尽で応酬した結果に、破滅しか残らなかった。
どちらの作品もすごく好きなのだけど、敢えて言うならむしろ「少女」の方が好きだった。なんで「砂糖菓子」ほど知られてないのか不思議に思うけど、ひとえに最初にラノベの文庫から出ているのが大きな要因なんだろうなぁ。
「砂糖菓子」をラノベの状態で出会って読んでいたらめちゃくちゃに絶賛していたと思う。ラノベ奇書なんて分かりやすくカテゴライズされて、祀り上げられてるものだから、カルト的な面も含めて余分に評価されてるのかも。
「少女には向かない職業」も面白いので、ぜひ読んでいただきたい。
13,失われた過去と未来の犯罪/小林泰三
これ、おもしろ…。小林泰三は今年になって初めて読んだのだけれど、こんなにどストライクな小説家を今まで見逃してたのかとつくづく思う。
本質はどこにあるのか。肉体は容れ物に過ぎず、記憶のみにより個が決定される。魂という概念が可視化できるようになった世界。現実ではありえないこととは、脳では理解しているのだけど、読んでいて現実にまで侵食してきている感覚がする。
まだ作者の作品を3冊くらいしか読んでないのではっきりとは断言できないが、下地に思考実験を置いて話を書くことが多いのだと思う。オタクは思考実験と熊に襲われるウィキペディアが好き。こんなんいいの?と思いながらずっと読んでた。小林泰三の作品が本当に好きだ。
惜しむらくは、既に鬼籍に入っていること。せめて存命のうちに知っていたかったな。チビチビ読んで読み切るのを延ばしていくかな。
14.儚い羊たちの祝宴/米澤穂信
全体通して、ふーんって感じだった。面白いんだけどね。僕自身があまり短編を楽しむ脳になっていないかもしれない。所謂イヤミスってやつ?多分これ自体は好き寄りのジャンルなんだけど、イヤミスって呼称から言い知れぬ気持ち悪さを感じる。
とりあえず変にラベリングするノリやめません?読後悪いミステリー好んで読んでる奴なんかキショキショ人間とかでいいだろ。
1番好きだったのは『北の館の罪人』かな。不穏な空気が流れるなと思いきや、ほっこりさせてきた。と思いきや、やっぱり不穏だった。映画バイオハザードのゾンビ出てくる、人間でした、やっぱりゾンビでしたの流れだった。クソ映画だが。
新潮文庫は栞紐が付いてるので嬉しい。栞紐(スピン)が付いてると得した気分になる。レジ横にご自由にどうぞと栞が置いてあるけど、なぜだか手に取る気はあまり起きない。小さい頃は手作りの栞を図書室でよく見かけたものだが、今になって押し花の栞を作ったりする人なんているのだろうか。
栞という単語自体人の名前くらいでしか見ないような気さえしてくる。電子書籍のソレは栞というよりブックマークの感覚。いや同じ意味だけど。
15,売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ/高木瑞穂
前々から存在自体は知っていたけど、図書館で特に目的もなく本を眺めていたらあったので借りた。ちょうどお金出してまで読もうと思わないラインなのでありがたかった。税金でこんなもん置くな。いや寄贈かもしんないけど。こんなもん寄贈すんな。
流れでニュース記事を漁ったり、ウィキを見てたら、他の言語でも作成されていた。『Cebuano』という見覚えのない言語だった。さっと調べると、フィリピンで多く話される言語らしく、あーと察してしまった。売春婦は日本人だけでなく、フィリピンやタイの不法滞在も多かったようだから、それでなんだろう。
売春島の変遷はこれぞまさしく盛者必衰という感じで面白かった。今はクリーン路線に乗り出して釣りだの自然だのアピールしているけど、まあ別にわざわざ渡鹿野島を選ぶかと言われると…ということだった。売春で名を馳せていた島が『ハートアイランド』を謳って恋人たちの聖地などと売り出している皮肉。
結局売春でしか成立できないので、淘汰されると衰退するという当たり前の帰結だった。タイトルだけ見ると驚くけど、結局は閉山した炭鉱町なんかと大差ないことなのだなと思った。
そういえば店舗型の風俗店は200m圏内に学校や図書館があると出店することができないので新規参入はほぼ不可能って見たな。龍が如くで得た知識だけど。
渡鹿野島には学校施設がないようなので、もしかして新規出店できたりするのかな。新しく開いたところで人が来ないか。そもそも論、学校や図書館がない地域なんて人間がいないか。
最近本当に久しぶりに図書館に行った。と言っても近所にある小さい分館だけど。記憶よりもずっと狭くてビックリした。配置はあんまり変わってなかった。あの頃と変わらない位置に妖怪辞典があった。ドラゴンボールが新装版に変わってた。物思いに耽りながら「少女には向かない職業」と「失われた過去と未来の犯罪」を借りて帰った。
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