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2023年10,11月 読書
26,アサッテの人/諏訪哲史
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第137回芥川賞 第50回群像新人文学賞 W受賞!
選考委員各氏激賞!
村上龍氏以来、30年ぶりの快挙! 驚異の新人出現!
吃音(きつおん)による疎外感から凡庸な言葉への嫌悪をつのらせ、孤独な風狂の末に行方をくらました若き叔父。彼にとって真に生きるとは「アサッテ」を生きることだった。世の通念から身をかわし続けた叔父の「哲学的奇行」の謎を解き明かすため、「私」は小説の筆を執るが……。
芥川賞作品ってこんな尖ってていいんだ。僕の少ない語彙力では全く感想を思いつかなかったので、実際に読んでみてください。テキトーに言ってしまうと実験小説であり、メタ小説です。物語性などは皆無で、激しく好き嫌いが分かれると思います。僕は好きですね。
この作品がベースで次作の『りすん』に繋がります。僕はりすんの方が好きでした。りすんの感想の方は以前書いています。
https://note.com/ma22741/n/nfa463f32d3dd
27,かにみそ/倉狩聡
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それは聡明で無垢で愛おしい、蟹。日本ホラー小説大賞優秀賞受賞の話題作!
全てに無気力な20代無職の「私」は、ある日海岸で小さな蟹を拾う。
それはなんと人の言葉を話し、小さな体で何でも食べる。
奇妙に楽しい暮らしの中、私は彼の食事代のため働き始めることに。
しかし私は、職場で出来た彼女を衝動的に殺してしまう。
そしてふと思いついた。
「蟹……食べるかな、これ」。
すると蟹は言った。
「じゃ、遠慮なく……」
捕食者と「餌」が逆転する時、生まれた恐怖と奇妙な友情とは。
話題をさらった「泣けるホラー」。
かなり好みだった。表紙のポップさとあらすじのB級ホラー映画っぽさにまんまと騙された。主人公がカニのおかげで社会性を獲得していくが、その引き換えとしてだんだんと狂気を発露していく。
『寄生獣』や『ファイト・クラブ』、今まで見てきた作品たちが脳をよぎり、集約していく感覚がした。後にも先にも人食いカニだなんて突飛なテーマでしんみりさせられることはないでしょう。
もう一つの収録作品の『百合の火葬』も良かった。著者はこの作品含め2作しか書いていなくて非常に勿体無く感じる。かなりおすすめ。
28,聖なるズー/濱野ちひろ
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開高賞史上最大の問題作!
動物との性愛。性にタブーはあるのか。
第17回開高健ノンフィクション賞受賞作
犬や馬をパートナーとする動物性愛者「ズー」。大型犬を「僕の妻だよ」と紹介する男性。七匹のねずみと「群れ」となって生活する男性。馬に恋する男性。彼らはときに動物とセックスし、深い愛情を持って生活する。そんなズーたちと寝食をともにしながら、自身の性暴力体験を背景に、人間にとって愛とは何か、暴力とは何か考察を重ねる。人間の深淵に迫る、第17回開高健ノンフィクション賞受賞作。
マジでずっとセックスって単語出てくる。着目するところ絶対そこじゃないとは分かってるけど、ゲシュタルト崩壊起こすくらい出てくる。なんとなく動物がセックスを誘ってくるのが分かるらしいですよ。信じらんないね。
サイズ感的に犬と馬がパートナー候補として圧倒的に多いそう。動物性愛者は自らを『ズー』と呼ぶそう(ズーファイル・ズーフィリアの略称)。その中でも「ズー・ゲイ」、「ズー・レズビアン」などさらに細分化される。挿入する・される側もある。分からない世界すぎる。
一般的に人間を性の対象にするのと変わらない感覚でいるのだろうと感じ取れるものの、正直言って受け入れることはできないかなと感じました。嫌悪感を抱くのも無理ない内容であんまり進んで読んでほしいとは思わない内容でした。