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読後寸評

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読んだ本で感じたことを綴っています。 好きな作家はラディゲですが、最近よく読むのはジェンダー論。A4用紙1枚程度で、800〜1000字程の感想文です。
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2024年2月の記事一覧

2024年上期芥川賞を読んで「東京都同情塔」

2024年上期芥川賞を読んで「東京都同情塔」

本(東京都同情塔)(ネタバレあり、長文失礼します)

2024年上期の芥川賞受賞作品です。今回の主人公は女性建築家で、従来の受賞作品の主人公と比較すると異色といっていいかもしれません。ニューヨークでの設計事務所のアシスタントを経て37歳で片仮名の設計事務所を主宰し、メディアの取材も受けながら秘書もいる、さらに国際的なコンペにも参加できる著名な建築家という設定です。

長年建築業界にいる私としては、

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自分で作る小さなメディア「野中モモの「ZINE」」

自分で作る小さなメディア「野中モモの「ZINE」」

本(野中モモの「ZINE」)

ミニコミ誌やフリーペーパーの新しい手法として注目されている「ZINE(ジン)」について書かれた本です。副題が「小さなわたしのメディアを作る」というもので、筆者の野中モモさんは長年ZINEを発行しており、その実践の記録と方法を紹介しています。ZINEとはマガジン(MAGAZINE)の語尾を取ったもので、筆者が定義すると以下のようになります。

・紙媒体 ・プリンターな

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