「すぐ泣く男」が、増えている。
男は泣くな、という古臭い考えでは、まったくない。
ただ、テレビを見ていると、
「カメラの前で、そんなに泣くか?」
「悔しいのはわかるけど、泣くことか?」
「うれしいのはわかるけど、泣くとこか?」
と思うことが、ここ10年くらいですごく増えた気がする。
今はもう、ずいぶん見ていないけど、たとえば「SASUKE」だ。
ある若者が、第三ステージで失敗して、クリアできなかった。
そこで、「一言……。」となったのだが、
ぐずぐず、涙を流して、
ぐちぐちと、後悔やら、これまでの苦労やらを、話し続ける。
そのうち、両親まで出てきた。
父と母にはさまれて、いつまでも、ぐずぐず、ぐぢぐぢと泣いている男。
なぜに、そこまで泣き続ける?
「悔しいですけど……。」
とひと泣きして、
「来年また、がんばります!」
で、いいじゃないか。
「SASUKE」はそもそも、感動とか、負けた男がほかの男を応援とか、
きっと「泣いてください」と言われて泣いてるんだろうなーとか、
そういう演出が好きな番組だ。
それにしても、彼は、本気で泣きすぎだった。
ダメだったー! というときだけでなく、
やったあ! というときも、日本人の男は泣く。
箱根駅伝でぎりぎりで10位に入ったとか、
足を痛めたけど、何とか、たすきをつないだとか。
これまで、大変な練習をこなしてきて、感極まってしまうのだろうが、
箱根駅伝で泣くのは、5秒、10秒足りなくて、
仲間が目の前で、繰り上げスタートをしてしまった選手だけでいいと思う。
だから、プロはエライ! と思った。
何度も書くが、
我らが横浜DeNAベイスターズが日本シリーズで優勝したときの話だ。
泣いているのは、三浦監督だけ。
選手たちは、みんな笑顔だ。
そりゃ、よく見たら、うっすら泣いていた選手もいたかもしれない。
ソフバンを蹴散らして、堂々と日本シリーズを優勝したのだから、泣いたって別にいいのだが、彼らはそれが、
「かっこわるい」
ということを知っていた。
だって、リーグ優勝していないんだもん。
オレらが泣くのは、リーグ優勝したときだよな!
そんなことは、選手のミーティングで話し合わなくても、わかっていたのだろう。くうー! 逆に、かっこよすぎて泣ける。
そう、泣いていいのはファンだけだ。
来年こそ、絶対リーグ優勝だ!
リーグ優勝を決めたら、筒香は膝から崩れ落ちて泣いたっていい。
桑原は、顔をぐしゃぐしゃにして、泣くだろう。
そんな、プロなら知っている泣きどころ。
なんだか、すぐに泣く傾向のある日本の男の人は、
ベイスターズの選手が泣かなかった意味を、知ってほしい。
いつでも、感情を爆発させて泣くのではなく、
感情が爆発しそうだけど、あえて笑顔というほうがカッコいい。
考えてみれば、阿部詩は泣き叫んだが、
阿部一二三は泣かなかった。
だから、カッコいい。
日本人は、涙を誘う演出より、
泣かないカッコよさをもっと称えていいと思う。
でもって、テレビは、何でもかんでも「お涙ちょうだい」にしようとするのは、もうやめてほしい。
ドラフト会議の後の番組とか、もうげっぷが出そうで、見なかったよ?
選ばれた選手たちが泣いてないんだから、
「おかあさんありがとう」とか、「泣き父がどうたら」とか、そんな昭和なノリは、令和の時代ではもういらんわ。
同じような理由で、二十四時間テレビも、一切見なくなって久しいなー。
誰かが走って、感動をありがとうとか、無理やり涙を流そうとしている芸能人とか、もう、ホントにおなかいっぱい。
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