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おいしいの不思議

「おいしい」と感じたとき、 私の口角は上がり、思わず天を見上げてしまう あぁ、神様ありがとう…! 今日という日を生きられて幸せです…! さすがにそんな大それたことは思わないのだが、 目の前のおいしいに出会えたしあわせを噛み締めながら なぜだか視線は天井と壁の交点を見つめている 「おいしい」に出会ったときは決まってそうなのである 目の前に置かれたうつわの上のあまぁいお菓子、 あるいは湯気の立つあたたかいごはんを目の前に、 自宅ならば両手を合わせて、外食の場合は小さな声で

    • 日々のしあわせ

      彼は言う 私がご機嫌ならなんでもいいのだ、と 一番大事だ 自分よりも私が大事だ、と 大好きよ 恋する前から愛してましたよ 最初から愛してたんですよ、と きっとしっくりきたのだという顔をして そのくせ言ったあとに照れたりしながら ほんの少し前まで、恋愛なんて分からない、なんて言っていたのに 好きってなんですか、なんて言っていたのに 穏やかであたたかく心地いい安心感とともに 今日も優しく優しく愛されている 私はこれ以上の幸せを知らない

      • 「書かねばならない」という思いについて

        時々、そう思う瞬間がある それは、きっと私の心が揺れた瞬間に思うことで 「吐き出さねば抱えていられない」 という感情の時もあれば、 「心躍ったこの瞬間について誰かに知ってほしい」 という感情の時もある 概ね、後者の場合はTwitterこと現Xの140字に なんとか言葉をはめ込んで、 ギリギリいっぱい詰め込んで、 時には2つに分けてまで書いて、 鍵のかかった私の小さな世界の内側に招き入れた人にだけ こっそりと、ボトルメールのようにTLの波に送り出す その時の言葉は、よく言

        • 日々の迷い

          「ゆっくり」 そう、ゆっくりし始めて、もう2ヶ月はゆうに経つ 「人生の夏休み」 いつだったか、誰かにそう言った私のこの時間は 人生で2度目の夏休みだ 今回も、私は「私」の心を無視した 頭で考えて「あともう少し」「できるかもしれない」「これぐらい大丈夫」 そう私に言い聞かせた 今回もやっぱり、私の体は(正しくはきっと心が) 私の想定よりも早く、悲鳴を上げ、限界を迎えた 前回よりも歳を取り、母も歳を取った 彼女もまもなく現職を辞めるらしい 体がもう限界だと言う 女手一つで

          良い日

          私は書く必要があった だから、初めて最後まで書き切る そして、最後にはきっと公開するだろう きっと、これが初めての記事になる 今は湖の畔 美術館の中にいる 目的は、Haruka Nakamuraさんと川内倫子さんのセッションライブ 川内倫子さんの写真も観てみたかった 初めての場所、初めて降りる駅、いつもより早い出発 聴き慣れた曲、お気に入りの服、小さな親切 良い日になりそうな予感がした 整理券を受け取り、館内をゆっくりと鑑賞する 最初は常設展「百花爛漫」 私

          良い日