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良い日
私は書く必要があった
だから、初めて最後まで書き切る
そして、最後にはきっと公開するだろう
きっと、これが初めての記事になる
今は湖の畔
美術館の中にいる
目的は、Haruka Nakamuraさんと川内倫子さんのセッションライブ
川内倫子さんの写真も観てみたかった
初めての場所、初めて降りる駅、いつもより早い出発
聴き慣れた曲、お気に入りの服、小さな親切
良い日になりそうな予感がした
整理券を受け取り、館内をゆっくりと鑑賞する
最初は常設展「百花爛漫」
私は描くには水彩が好きだが、観る分には油彩が好きらしい
色の重なり、筆使い、私の中に何かを感じさせて足を止めさせた
じっくりと、心ゆくまで観た
次は、常設展「川内倫子と滋賀」
光が眩しかった
思はず目を細めた
彼女の切り取る時間は透明で明るい色に彩られていた
軽食を食べ、セッションライブへ
川内倫子さんによるトークと、常設展のスライドショーに、「はじまりのひ」の朗読、最後に彼女の企画展の写真のスライドショー
きらきらと光が眩しい
炎の熱を感じた
火の中に龍を見た
かつて田舎にいた時に嗅いだ煙の匂いがした
スライドショーにはHaruka Nakamuraさんのピアノ
いつも聴く、彼の丸く、柔らかく、澄んで、きらきらと繊細な光の音だった
そっと、彼女の写真に寄り添うような音だった
最後に観たのは
企画展「M/E 球体の上 無限の連なり」
そこには生があった
そして、死があった
光と影があった
老いと若いがあった
風を、水を、土を、木を、炎を感じた
足元に揺らめく映像に、私は確かに水辺に立ち、水の中に立ち、足の裏に流れゆく川の水と、流され削られ丸くなった石を感じた
そこには風が吹いていた
また川の中で水の流れを感じたくて、そのまま2周目へ
目の前の作品に夢中で背後にあった作品に気づいていなかった
今度こそ、ゆっくりと観て、聴いて、全ての作品を感じる
不意に、Harukaさんと出会った
静かな空間で川内倫子さんの写真を鑑賞されていたので、恐る恐る、そっと声を掛けた
手短に今日のライブの感想と感謝、またライブに行くと伝えた
両手を合わせてありがとうございますと言っていただいた(ように思う)
右手を差し出し握手を乞うと、躊躇いなく両手で私の右手を包んでくれた
彼の手は、彼の生み出す音と同じく
柔らかく、あたたかかった
やはり、良い日だった