"節水"で水不足解決に挑む町工場の世界進出(DG TAKANO社長 高野雅彰氏/Morning satellite May,2024)
昨今、ビジネスの現場でデザイン思考という言葉が使われる場面が増加してきた。これは、難しい社会課題の解決策を考えるアイデアを出すときの発想法の1つである。このデザイン思考に基づく、ものづくりで注目を集める東大阪市にある町工場から生まれたDG TAKANO(高野雅彰氏)によるスタートアップの挑戦を紹介する。
2024年4月中旬にイタリアミラノで開催されたミラノサローネ(世界最大のインテリア見本市)にて、バイヤーに高く注目されていたのは、オリーブオイルを洗剤不要かつ僅かな水で汚れを落とせるお皿である。
メカニズムとして、お皿の表面にナノレベルの芝生ような加工をしており、油や食べ物を通さず、僅かな水で浮かせて落とすことが可能である。洗剤アレルギーの方に多く評価されている。
そんなDG TAKANOがメインとして進めているのが、水を最大90%節約できる節水ノズルである。これを用いて、世界の水不足を解消しようと試んでいる。
その製品は、バブル90。
蛇口に取り付け、最大90%節水が可能となる。
現在まで累計30万個を出荷している。
そのメカニズムは、空気と水を混ぜ、粒状にした水を放出する構造。
水の粒が勢いよく汚れに当たることで、90%節水しても、十分な洗浄力を発揮出来る。
高野氏は、世界中に自分たちの製品が認知され、世界を変えられる会社にしたいと目標を掲げ、水不足に悩むサウジアラビアに対し、オラヤングループと節水ビジネスで協業する覚書を締結した。
次の目標として、モスクを掲げている。
イスラム教徒が、礼拝の度に、顔や水を清めるための蛇口にバブル90による節水を提案している。宗教省がモスクを持っており、水道代を負担しているとのこと。
次の画期的新商品を発表したのが、流し台である。
バブル90+洗剤不要のお皿+流し台により、99%節水が可能となり、洗剤未使用のため、排水をリユースできる仕組みである。
そして、洗剤未使用の排水とディスポーザーで粉砕した食べ残しをバイオタンクに運び、野菜などの肥料にして循環させるシステムを検討しているとのこと。
今後、水問題や食料問題の包括的に解決できるソリューション作成に尽力したいと高野氏はコメントを残している。