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39.組織管理には数値化が不可欠

記事を読んでいただきありがとうございます。
前回は、「社員が自主的に動きたくなる仕掛学」について、お伝えしました。

皆さんが学生の頃、多くのことが数字で表されていたと思います。
学力はテストの点数で示され、部活動などのスポーツでは勝敗が得点で表されていました。
なぜなら、数値化することで結果が一目で分かるからです。
たとえば、テストの点数が100点であれば「しっかり勉強したのだな」と分かりますし、スポーツでは得点が多いチームが強いと判断できます。
しかし、社会に出て介護現場で働き始めると、数字を目にする機会が減ります。

これは、数字で表せないからではなく、数字で表す習慣がないためです。

実際には、社会に出ても数字はあらゆるところに存在しています。
会社や施設の「決算書」には、売上、利益、人件費、経費などが数値で記されています。
これらの数値を見ることで、その会社の経営状況が良いのか悪いのかを把握できます。
このように、物事を数値で捉えること「定量的な考え方」と言います。

職場での定性的な考え方の問題点

一方で、職場では次のような感情的または抽象的な表現、つまり「定性的な考え方」がよく見られます。

  • 「大変だから、人を雇ってほしい。」

  • 「業務が忙しいから、通所介護計画書の作成ができない。」

このような表現では、「どのくらい大変なのか」、「どの程度忙しいのか」が曖昧で、具体的な状況が伝わりません。
その結果、問題解決のための適切な対策が立てにくくなります。
たとえば、学校で先生が「あなたのお子さんは成績が悪いです」と言った漠然とした情報では、どの教科をどう改善すればよいのか分かりません。
しかし、先生が「数学は80点ですが、英語は20点ですので、英語を重点的に勉強してください」と言えば、どこに注力すればよいかが具体的に分かります。

「大変だから、人を雇ってほしい。」を定量的に考える

「大変だから、人を雇ってほしい」という要望を定量的に考えるには、以下のような情報を収集する必要があります。

  1. 時間帯ごとの状況を確認する

    • 大変なのは午前か午後か?

    • 特定の曜日に業務が集中していないか?

  2. 業務量と人数を把握する

    • 利用者が何人以上になると大変と感じるのか?

    • スタッフが何人以下になると業務が回らなくなるのか?

これらを具体的に数値化すれば、「どの時間帯・状況で忙しいのか」が分かり、管理者が的確に対応できます。
たとえば、大変な時間帯に今いるスタッフを多く配置したり、新たに必要なスタッフ数を適切に見積もることが可能になります。

「業務が忙しいから通所介護計画書の作成ができない。」を定量的に考える

書類作業が溜まると、「たくさんあるからできない!」と感じることがあります。しかし、冷静に状況を定量的に考えることが大切です。

  1. 作業量を確認する

    • 残り何枚の書類があるのか?

    • 1枚の書類作成にかかる平均時間はどのくらいか?

  2. 作業可能な時間を確認する

    • 1日にどのくらい集中して作業できるのか?

これらを把握すれば、作業がいつ終わるのか見通しを立てることができます。
もし間に合わない場合は、優先順位を付けたり、周囲の助けを求めるなど具体的な対策を講じることも可能です。

数字が持つ役割

ここで重要なのは、必ずしも正確な数字である必要はないということです。
必要なのは、「行動を促すための目安となる数字」です。
たとえば、平均的な作業時間を参考にすることで、全体の進捗やゴールが見えるようになります。
ただ「忙しい」「できない」と言うだけでは解決になりません。
定量的な考え方を取り入れ、解決策を見つけるための情報を整理する習慣を身につけましょう。


まとめ 定性的思考ではなく、定量的思考を身につける