日〇屋のとんこつラーメン大盛りを貪りたいだけの話

もう間近に迫った5月25日

そう、早くてもこの日に緊急事態宣言が解除される。

そう、ニートからの・・・・・・卒業

(私の中の尾崎豊もこれでもかと言うほどの溜めを作り最後のフレーズを歌いあげる)


うーん・・・嫌だ!w

たしかに、4月の頭から長かった。

コンビニにタバコと缶コーヒーを買いに行く以外の外出はしていなかった。

遊ぶ予定もキャンセルになった。

でも、そこまで社交的な訳でもなく、インドア派で休みの日は競技ゲームに明け暮れる私は苦痛どころか精神的に楽だった。

さらには、休業補償や政府の10万、さらには大学からの給付金・・・。

実際に働くよりも収支の効率が良かったのだ。

合法的ニート、万歳!

不謹慎ながらオリンピック開催国決定並のガッツポーズが出てしまった日もあった。

でも・・・

それでも・・・

外出をしたいひとつの理由がある。


日〇屋のとんこつラーメン大盛りを貪りたい


もう一度言おう。


日〇屋のとんこつラーメン大盛りを貪りたい。


日〇屋のとんこつラーメン大盛りを貪りたい私「日〇屋のとんこつラーメン大盛りを貪りたい」


どんな感情がこのとんこつラーメン欲をここまで掻き立てるのか。

確かに、日〇屋は質よりも安さを重視している。

ようやくの自主明けに口にする最初の外食とは似つかわないかもしれない。

それでも私は・・・

日〇屋のとんこつラーメン大盛りを貪りたいのだ。

日〇屋のとんこつラーメン大盛りは私を肯定してくれる。

こいつ・・・頭が・・・おかしいッ!

ブラウザバックは待ってくれ。

確かに頭がおかしいが、これには理由がある。


私の生活は自粛だろうと自粛じゃなかろうとゴミ同然の生活だ。

健康的で文化的の欠片もない、必要最低限の睡眠を取る生活だ。

そろそろ違憲立法審査権を行使されてもおかしくない。

午前中に睡眠し、大学は週2コマ程、昼過ぎに目覚めて講義かバイトに向かう・・・。

そして終電まで酒を飲むか働くかの2択である。

帰宅は1時過ぎ、そこからゲームと米粒程度の勉強をして6~7時に寝る。


こんな生活でも単位はしっかり取れている効率の良さだけは8親等くらいに語り継ぎたい。


しかし、こんなゴミ同然の生活を送っていれば不安もある。罪悪感もある。

「またゴミのような生活を送ってしまった・・・」

「まだミドリムシの方が有意義な人生を過ごしているのではないか・・・」

そんな感情を全て肯定してくれるのは、親友でも家族でも恋人でもない。


日〇屋のとんこつラーメン大盛りである。


日〇屋のとんこつラーメンの偉大さがわかって頂けたであろうか?

やっぱり頭がおかしい?ブラウザバックは待ってくれ。

日〇屋のとんこつラーメンは全てを肯定してくれる。

睡眠の質は米粒くらい、太陽光もろくに浴びずに朝も昼もまともに食べず、日付が変わるくらいまで働く。

そんな心身ともに疲れ切った体を癒してくれるのは日〇屋のとんこつラーメン大盛りだ。


私は、いつものように最寄り駅前の日〇屋に入る。

見慣れた景色、見慣れた外国人店員、時には居酒屋と勘違いした煩わしいヤンキーや老人が騒いでいることもある。

しかし、ここは無法地帯だ・・・。

禁酒法下のアメリカの地下酒場のようなものである。

クスリ、闇市、武器売買なんでもありだ。

そして今、目の前にとんこつラーメン大盛りという麻薬も売られているのだから。

私はゆっくりと他人と一席分空けて座る。

そして高らかに宣言するのだ。

「とんこつラーメン大盛りでお願いします」


ここで忘れてはいけないのが「大盛り無料券」

無料券はいつだって貧困学生の味方だ。

恐ろしいことにこの無料券、会計後にまた貰えるのだ。

この無限ループで麻薬依存に陥るのだろう。無料券、合掌。


お冷のコップが来ないこともある。注文したのに20分くらい待たされることもある。そんなの構わない。無法地帯にそんなことは関係ない。


そのとんこつラーメン大盛りが全てを黙らせてくれる。

そして、基本的に5分程で「ブツ」はやってくる。

「トンコツラーメン、オオモリニナリマス」

そのカタコト加減もまた、これから始まる悪の行為を肯定してくれているようだった。

私は軽くその遣いに会釈をし、そのブツと対話を始める。

さあ、早く食べたくてしょうがない!なんせ昼飯も食ってないのだから!


ノンノン、焦りはどの場面でも禁物だ。

私は震える手を無理矢理押さえつけ、ラー油に手を遣る。

ラー油は2周、次はお酢を1周、そしてブラックペッパーを適量だ。

これで全ての儀式が完了した。

私は丼の下に敷く皿のどっかに挟まってるタイプのレンゲを探し当て、手を合わせる。

そして、禁断の呪文を呟くのだ。


「いただきます。」


そこから先のことはあまり覚えていない。

ただ、ひとつだけ覚えていることがあった。

安くも体に良くはなさそうなスープ、ラー油の辛み、歯ごたえのあるメンマ、ごく普通のチャーシュー、そして固めの細麺・・・。

全てが私を肯定してくれていた。


勿論、ホテルのレストランのように格段に美味しい訳でもないし、サービスが充実している訳でもない。

しかし、ラーメン貪り選手権があれば、二郎の次は日〇屋のとんこつラーメンに違いない。

無心で、周りを気にも留めず、ただただとんこつラーメン大盛りを喰らう。

疲弊しきった体に温かさ、満腹感が戻ってくる。

こうして人々は、快楽を求め、またここに集まるのだろう・・・何かに取り憑かれたかのように。



さて、ここで振り返ろう。

結論からいえば、自粛中の私の生活もゴミだ。

オンライン講義の分マシにはなったが、ゴミだ。

ゴミゴミの実を食った訳でもないのだが、ゴミだ。


そんな自分を肯定してくれる存在がいないのである。

もうあれから2ヶ月も経った。

私にはとんこつラーメン大盛りしかないのに・・・


メンヘラもビックリするセリフである。



しかし、歴史上の偉人たちも我慢を繰り返してきた。

徳川家康はホトトギスを鳴くまで待ち、

ガンジーも非暴力・不服従を遵守し、

三国干渉に従ったあのときも臥薪嘗胆を唱えた。

であれば、私も必死に我慢をしなければならない。

彼らがいなければ、日〇屋もなかったかもしれないのだから。

そして、私は来たるべき明くる日にこう言うだろう。





「日本の夜明けぜよ!」





おわり


p.s.とんこつラーメンより冷やし中華の方がうまい


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