「僕はまだ頑張れる」#読了
一文で言うと、サクッと読めるのに、泣けるし、元気とやる気をくれる本です。
推しの囲碁棋士のベッキーこと、木部夏生三段のYouTube動画を見て知った1型糖尿病のトップアスリート2名。
一人は、阪神タイガースの岩田稔投手。もう一人は、エアロビック競技選手の大村詠一さん。
運動すると乱れやすい血糖値を注射と糖質でコントロールしながら、トップアスリートになった2人の頭の中が知りたい。
どういう考え方で、何を想い、何に悩み、そしてどのようにして絶妙な体調管理をしているのだろうか、と興味が湧く。
内容にはさらなる魅力を感じずにはいられない。
内容や詳細は、ぜひ「僕はまだがんばれる」の原書を読んでんでもらいたい。
ここでは、いくつか心に響いたことを書かせてもらおうと思う。
大村選手は8歳で発病し、一時は周囲からの誤解に苦しみ病気を隠しての生活を送っていた。
そんな時、ある恩師のおかげでカミングアウトした。
病気のことだけではなく、様々な想いをクラスメイトに告げたのだ。
すると、周囲は理解してくれた。それだけではなく、チームのように助け合う環境が築かれていったのだ。
最近、ネガティブな思考に陥りやすい自分への喝でもあり、やっぱり人は優しいと思えるエピソードでもあり、コミュニケーションと態度の大切さを再認識して泣けるワンシーン。
一般的に、結構、話せば理解が得られることも多いのだろうな。
つい、説明も補足も訂正も避けて、理解してもらうことを諦めがちになってしまうことがある自分にとって、これは教訓でもあり、希望でもある。
実際、周囲の人は優しいし、結構どこに行っても助けてくれる人は多い。その上、色々理解してくれていることも多いとも思う。
最近、人間は根本的には優しい生物だと確信している。(そうじゃない人は、様々な苦難や悲劇で歪んでしまうか、一杯一杯で自分以外の人々に目を向ける余裕がないだけだと思っている。だから、生まれた瞬間や本能の根っこの部分は良い人、というのが人間の本質だと思う昨今。)
だからこそ、障壁は自分だけにも思える。話せば周囲は理解したいと待ち構えてくれているかもしれないよ。
もう一つは、仲間を見つけた喜びだろうか。
以前このノートでも書いた、「前例がない」ことに対しての私自身の想いとして、いくつか上げたものの一つとピッタリ一致したのが大村選手の言葉。
「前例がないなら、作ればいい」という大村選手の言葉が自分の考えや生き方に似ている。
私は「前例がないです」と言われた時に、「じゃぁ、禁止されてないんですね。よかった。」とか言ったこともあったなぁ🤣
「世界初です。」と言われて、「ラッキー、そんな凄いことがこのタイミングでできるなんて、なんて恵まれているんだろう?」とかも良く言うなぁ。
(失敗の可能性は過去の自分の思考にはなかった。)
それでも、「なんで自分ばっかり大変なんだよ!」と思うこともあれば、「今まで散々色々起きて、生きてるのって世界で自分くらいしかいないじゃん!なんでこんな珍しい病気になんかなったんだよ!」という孤独感もあった。(生きてるのはありがたい。でも、同病で同じ状況のツーカーの仲間が欲しい、と思うこともある。同病者に限らず、皆がツーカーな親友に助けられてるよね、きっと。)
日常でも、体力不足で我慢を強いられる場面もあった。
なんで自分だけ病気のせいで超工夫しないとなんだ!
色々、悔しいこともあるよね。
そんな時に、母が「僕の前に道はない」、「僕の後ろに道はできる」という高村光太郎さんの言葉で励ましてくれた。
ある意味、それを支えに頑張ってきたことも多々ある。
今、色々な分岐点におり、とりあえず前進しながら、自分の人生の優先順位やこれから進むべき道を模索している真っ只中だ。
なので、プラス思考で、成功を収めている選手が、自分と似た思考回路を持っていることにも励まされる。
そう。
やっぱり、人って群れたい生き物だからね。
仲間が欲しい。
仲間がいるのだけれども、やっぱり、なんだろう。
共感したい生き物なんだと思う。
読書って良いよね。
自分が求めている状況への道標を見つけられる。
同時に、自分の中に迷いや葛藤がある時だからこそ、特に「共感」と「理解」を求めるのかもしれない。
正直、私の薬は多い。
投薬だけでも毎日なんだか忙しい。
仕事で忙しいのは理解が得やすいけれども、「闘病で忙しい」というのは、なかなか共感が得づらいと思うこともある。
「入院中」というのも理解されやすいのだろうか? しかし、その危険性を察知して回避する行動は、これまた理解が得づらいのかな?
他にも色々あるんだけど。
自分としては、治療さえできていれば、出来ることは健常者に劣らない面もあると思っている。
むしろ、自分だからこそ長けていることもある。
工夫さえできれば、いくらでも「できるんだ❗️」とも思っているし、根がめちゃくちゃ元気だとも思っている。
だからこそ、「闘病が辛い」とか「闘病が苦しい」という感情とも少し違うのだ。
まさに、「闘病が忙しい」……
闘病??
病気と闘うというよりも、共存して自分の人生を歩もうとしている。
現状、共病という表現が近いかな?
同時に、そもそも治療法があることにも感謝しているし、その治療が可能なことにも感謝している。
そして、治療自体は幸いそこまで辛いものではない。
体調も安定はしている。
ただ、体調が良くてピンピンしているわけでもない。
ちょっとでも油断して、休息を怠ろうものなら、一瞬で奈落の底の体調へ落下してしまう可能性がある。今まで色々経験してきたからなぁ。
経験値ってやつ?
急変リスクはないわけじゃないけれども、慎重かつ超丁寧に自己管理していれば、治療さえできれば頭脳労働はできる。
確かに、表現によっては、大変とも表せるのかもしれない。
しかし、体感的にも心境としても、やっぱり病気で忙しいのだ。
というわけで、「血糖値をコントロールさえしていれば、健康な人ができることはなんでもできるよ」という慢性疾患である1型糖尿病の本だから共感できる。
さらには、自己免疫疾患だから、身体が膵臓を攻撃して発病する1型糖尿病なのに、生活習慣が原因で起きる2型糖尿病と混同されて誤解に苦しむ疾患だ。それ故に、認知度も誤解も多い他の希少疾患と似ている側面もあって、共感できる。
毎回の食事や完食時に血糖測定をし、注射するインスリン量をコントロールしなければいけない1型糖尿病。加えて、運動や他の様々な要因で血糖値が低下しやすく、速やかに糖で補正しなければいけない1型糖尿病。様々な要因で高血糖になり、インスリンを追加して補正しなければいけない1型糖尿病。食事内容でも、時間差でくる低血糖リスクが変化する1型糖尿病。
それを怠ると、昏睡でとんでもないことにもなり得る1型糖尿病とインスリン治療。
しかし、血糖値さえコントロールできれば、なんでもできる1型糖尿病。
この、特殊な疾患だからこそ、共感できるのだ。
まぁ、私の生活と同一ではないけれども、コンセプトが似ている。
その上で、それを掌握しているトップアスリートが前向きに、そしてサバサバした語り口調で多岐にわたる大活躍が綴っている。
もう、やる気と活力、プラスのエネルギーを注ぎ込んでもらえる一冊。
読み終わった時の爽快感が半端ない。
良いタイミングで、実に素晴らしい良書に出会ったことに感謝している。
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