【浮世絵模写】突然の雨と相合傘
連休でやりたかったこと、それは下書き記事の投稿です。以前、浮世絵大好きなのでシリーズ化しますと宣言していたのですが、わずか記事2本でシリーズが途絶えてしまいました。これを機に、2023年10月から書きっぱなしだった記事を完成させました。ようやく三作目の公開です。
三作目は「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」
フィンセント・ファン・ゴッホも油彩画で模写した、歌川広重の名作です。
縦型の画面を大胆に横切るのは隅田川にかかる「大はし(現:新大橋)」。俯瞰構図も魅力的ですが、何よりもこの雨の表現が秀逸!実はこの雨、2種類の線だけで出来ているんです。細い線と太い線の版木が交差するように摺ることで奥行き感を出しているんです。そもそも、こんな細い線を「彫る」「摺る」ことができるなんて、当時の職人芸に感服です。
このザァーザァー降りの雨を水彩画で表現してみたい!ということで描いてみたのがコチラ。
ど、どうでしょうか・・・!”ザァーザァー降り感”はちょっと少ないかもしれませんね。今回こだわったポイントは3つ。
橋脚(きょうきゃく)のぼかし
雨がざーっと降って、水しぶきで橋脚が霞んでいる雰囲気を出すため、あえて橋脚をぼかしてみました。(原画では橋脚はしっかり描かれています)少し濡れたキャンパスに絵具をのせた後、画面の右下をスプレーで流しています。橋の反射
雨でぬれた橋を描くため、白部分を残したり、人間の足元の影が反射している感じを出してみました。雨の白線
印象派水彩画では「雨」そのものを直接的に描くことは少なく、地面の滲みや反射で間接的に表現することが多いように思います。今回は江戸の職人への敬意をこめて、あえて「2つの角度の線」で描いてみました。もうちょっとたくさん描けばよかったかな…!
せっかくなので、ボツになった失敗作も公開します。
白い線の密度が高く、”ザァーザァー降り感”は出せた気がします。黒い雨雲も、ゴロゴロ・・という雷が聞こえてきそう。一方で、橋脚はくっきり。せっかくなら水彩画の魅力を活かしたい!と思い、描いたのが次の1枚です。
いやー、微妙。ということで、即ボツにしました(笑)。水彩画の特徴を全然活かしきれていないですね。橋脚を超くっきりと描き込みすぎて、雨の雰囲気が全く伝わってきません。この後、何度も描いても、同じような絵に。ようやく「あ、橋脚は省略すればいいのか!」ということに気づき、描いたのが今回の完成版、という訳です。
こちらが完成版の制作過程。
橋は塗り残しています。後でキャンバスの地の色を活かして、明るい反射の部分を出すためです。それ以外は、水で濡らしたキャンバスに青系や赤系の絵具をのせていきました。
橋脚をぼかしながら入れつつ、橋の表面に色をのせていきました。濃いブルーに水玉模様がありますが、絵具が濡れているうちに、水を指で飛ばして作ったものです。
ようやく記事を公開できてスッキリ爽快な気分です。次の浮世絵模写は・・・いつになるか分かりません(笑)ので、よろしければ過去の浮世絵模写をご覧ください。