1.はじめに
推し語りまとめ・後編 小説以外で「作家買い」が起きる場合について
今回のnoteは上記のnoteで取り上げていた書籍で、佐々木俊尚氏の本である『この国を蝕む「神話」解体 市民目線・テクノロジー否定・テロリストの物語化・反権力』についてです。
2.本noteの形式
こちらの書籍ですが、話題が多岐にわたるため、一部抜粋し、私の私見を加えつつ、内容を紹介したいと思います。
2-1.~まえがきにかえて~
そもそもの話として、テレビのワイドショーなどに出演されるコメンテーターの価値とは何でしょう?報道している話題に対し、深い知識や知見を有しているのでしょうか?仮に"報道している話題"に詳しい方をコメンテーターに招いたとして、内容が他の話題になった際に対応できるのでしょうか?という疑問が浮かびます(ワイドショーの類は見ていないので、どのようにして番組を進行しているかは知らないのですが、話題のたびに話題に適したコメンテーターに出演してもらうことは可能だと思います。最も、番組側がそこまでするかは分かりませんが)。番組で取り上げる話題に対して、しっかりとした知識を持ち、優れた見識を述べているのでしょうか?そうでないとするなら、どんなに優れた学者、作家、芸能人であったとしても、コメントの価値はよくある町中の人々にインタビューして得られるコメントと大差ないと思います。
ここで私自身の姿勢について書いておくと、ステレオタイプな考え方はあまり好みません。理由ですが、自由な発想、柔軟な思考を阻害するように感じますし、主にSNS、ニュース、書籍などで単純なステレオタイプに当てはまらないような様々な考え方や個人の価値観などに触れてきたためです。
また、様々な記事を見ますが、ステレオタイプな記事をあまりにも見すぎたせいか、タイトルを見ると引き込まれるどころか「またか…」となり、記事の冒頭すら見たいとも思わなくなってしまいました。
テクノロジーに関しては、肯定的な姿勢をとっています。テクノロジー自体に興味はありますし、私のnoteで過去に取り上げた、メタバースや生成AIなどはもちろん、日常で我々が利用しているPCやスマートフォン、通信技術その他もテクノロジーの産物だと考えており、生活に必要不可欠であると考えているからです。新しい技術に関しては、良い面も悪い面もあるのは当たり前の話なので、新しい技術に対して、ネガティブな面を出すこと自体に、ステレオタイプな考え方だと考えます。「新しい技術に関するデメリット」を書かれるのであれば、それと並行し、「新しい技術を取り入れず、古い技術を使い続ける際のデメリット」も掲載すべきではないかと考えるのですが、そのような記事を書かれる方はどのようにお考えなのでしょう?
2-2.第三章 メディアの神話
新聞、テレビ、ネットにせよいずれも怪しく不確かであるという意見は私個人の感覚とも合致します。現状においては情報も、ある程度能動的に取りに行き、クロスチェックなどを行って精査しないとしっかりとした情報は得にくいと感じます。そして、しっかりとした情報を得るためにX(旧Twitter)を集合知に頼るというのは、私個人の観測範囲の知識を持つ方々のポストされる内容を見ても妥当であると考えられます。
個人的には本もよいと思いますが、どうしても本の執筆に時間がかかってしまうので、最先端の分野であると、即応性はSNS等と比べて一歩譲ると考えられます。一例をあげると、生成AIの書籍に関しては、ChatGPTの公開が2022年11月(今井翔太氏の『生成AIで世界はこう変わる』より引用)である一方、私の所持している生成AIの電子書籍の情報を見ると、西田宗千佳氏の『生成AIの核心: 「新しい知」といかに向き合うか』は"2023年9月30日に電子書籍版発行"、今井翔太氏の『生成AIで世界はこう変わる』は"2024年1月15日に初版第1刷発行、2024年2月1日に電子版第1刷発行"となっており、ある程度時間がかかっています(本の執筆に関しては、場合によっては取材なども必要なため、これは仕方のないことであると考えられます)。最先端の分野であれば、その分野の専門家をXでフォローしつつ、本を補完的に活用するような方法が良いと考えられます(なお、生成AIの場合、「自分で使って知見を得る」も選択肢として重要になると考えられます)。
一方で、そこまで即応性の求められない分野であれば、本の優位性は高まると思います。参考までに、直近で私の読んだ『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』という本を参考に挙げます。この本はマネジメントに関する本ですが、巻末を見ると、1984年に早川書房にて出発された版をベースに、2015年に米国で出版されたペーパーバック板を翻訳したとあり、初期のバージョンから既に40年が経過しています。年数を考えるとかなりの年数が経過していますか、マネジメントに関しては、生成AIほど新規性は求められないと考えられるので、内容としては通用すると思います。
参考:『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』に関して
2-3.第四章 右翼と左翼の神話
引用者による補足:本note投稿時点ではX(旧Twitter)には"コミュニティ ノート"という機能が実装され、ポストした内容に注釈がつけられるようになっています。ポストした内容に対して、コミュニティノートによる注釈がついている比率が高いアカウントに関しては、気を付けたほうがよいでしょう(コミュニティーノートはおおむね妥当な内容の注釈がついているように感じます。そのような注釈に対し、アカウント側がどのような対処をとっているかもポイントになると思います。突きつけられた注釈に対し誠実に対処するか、無視するかは判断基準として機能すると思います)。
参考:「X」(Twitter)を信用できない人は誰? コミュニティ ノート数ランキングが登場
コミュニティーノートの実装以前から、誤った内容がポストされた場合、詳しい方が該当のポストをリポストする形で訂正をされていましたが、ポスト自体に注釈がつくようになったのは良いことだと思います。
ポストされた内容が誤っていた場合、ポストされた情報の分野の専門家からすれば、誤った情報の拡散は看過できないと考えられます。ご自身の時間を使って訂正される方には本当に頭が下がる思いです。
X(旧Twitter)時代から専門外の知識をポストして、その内容が引用リポストで訂正(Twitter時代だと"引用リツイート")という形で拡散してきたのを見ていた側からすると、「誤った情報を拡散する人たちは、なぜ自身の専門外の内容について口を出したがるのか?」や、「バズらせるために意図的に頓珍漢なことを言っているのではないか?」といった色々な考えが浮かぶのですが、このような現象に関しては、「明日は我が身」だと考え専門外のことには口をしないようにしています(私自身のX(旧Twitter)で活動している理由に"情報収集"があり、誤った情報の拡散は本意ではありません)。
3.感想
現在だけの話ではなく、各トピックに関する歴史にも触れており、歴史を見ながら状況を俯瞰できる良い本だと思います。
個人的に特に良いと思ったのは第三章で出てきたSNSを用いた知見の共有の部分です。私が以前書いた、「決めるということ」というnoteがありますが、どちらかというと「個人」での意思決定を念頭に置いた内容でした。しかし、生活を行う上で、「個人」の意思決定だけしか行わないという方はまれだと思います。「集団」(組織など)で意思決定を行う局面というのは出てくると思います、集団内での知識の共有というのは必要になってくると思います。
私が読んで、noteも執筆した「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」という本はマネジメントに関する書籍なのですが、その中に以下のような一文が出てきます。
上記の引用部分のうち、"われわれのビジネスでは、毎日、知識パワーを持つ人々と地位パワーを持つ人々を結びつけなければならない。"の一文は、組織内で知見を共有することの重要性を書いたものだと解釈しています。組織が意思決定するうえで決定権がある人には組織内の知識のある人の知識が共有されていないと、正しい意思決定ができず、成功に結び付かないというのは妥当であるように感じます。
4.取り上げた書籍
この国を蝕む「神話」解体 市民目線・テクノロジー否定・テロリストの物語化・反権力 Kindle版
HIGH OUTPUT MANAGEMENT Kindle版
生成AIの核心 「新しい知」といかに向き合うか (NHK出版新書) Kindle版
生成AIで世界はこう変わる (SB新書) Kindle版
5.関連note
「決める」ということについて
読書記録(2024年)
こちらのnoteでは、"4.取り上げた書籍"で取り上げた書籍が掲載されています。