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「懺悔」という名の、昔話

夫と付き合い始めたとき、私は実家住まいだった。
ちなみに夫も当時は実家住まい。というのはすでにこの記事で紹介済みなのでご存じの方も多いかもしれない。

で、その実家住まいの私。
未婚のアラサーだったこともあり、両親にとって私の結婚が目下の関心事の中心。当時彼氏だった夫が、私の「未来の夫」として”当たり”かどうか点数付けをしていた。
今思うと、失礼極まりない。

ある日、当時勤めていた会社での歓送迎会が開かれることになった。
実家はかなり田舎のほうにあり、最寄り駅から徒歩で30分、車の通りの極端に少ない場所を通って森を通らないとたどり着けない大変な場所にあった。
そのため、飲み会の日の多くは、母に最寄りの駅まで迎えに来てくれるように頼んでいた。
のだが。

母「彼氏君に送り迎え頼んでみなよ」
私「え、いいのかな・・・」
母「いいよ、彼氏だもん」

高度経済成長期に青春時代~青年期を過ごした人らしい言葉、かもしれないが、彼氏(以後、夫であることを端折ります。)をアッシー(死語ならぬ化石語)に使えとは、親の言葉としてなかなかいかがなものか。

しかし、母は試したかったのだろう。
彼が、私を預けるにふさわしいかどうか。
『ちゃんとうちの娘を守ってくれるんでしょうね!?』
というところかだろうか。

果たして彼氏は・・・。




車で迎えに来てくれることとなった。

そして同僚の送迎までしてくれた。
彼の実家から私が迎えを頼んだ場所は車で15分弱でつく、比較的近い場所。
しかしそこから私の実家までは彼の実家とは違う方向へと40分走ることとなる。
さらに私の実家から彼の実家まで、車で30分。
計2時間ほどの大仕事だ。
それも、夜中の11時過ぎスタートの仕事で、次の日彼は朝から出勤というスケジュールだった。
だれもが避けたいであろう嫌な仕事(アッシー)。

さらに。
お酒に強い私は、食事や移動を挟みつつも4時間もの間ずっと飲み続けていた。
陽気に話す笑上戸な私に絡まれ、下戸な彼には狭い車内という密室で大変だっただろう。
認めたくはないが相当酒臭かっただろうし。
それなのに、彼氏は、まったく嫌な顔一つしなかった。

私は感動した。

前の彼氏が酒飲みで、迎えに来てもらおうものなら”自分は我慢してるのにいい身分だなぁ!”とイライラする人だった。
それだけに、その彼氏の懐の深さにもうびっくり。
優しい彼に、私はさらにハマっていった。
HSPの私には、怒らない彼氏は本当に最高の沼だったのだ。もうズブズブである。

もちろん母にも事前に報告済み。
ニッコニコで
「よかったじゃん」
と言っていた。
『よしよし、この点は合格だね。』
というところだろうか。

しかし、次の日素面に戻った私は申し訳なくて仕方なかった。
もちろん次のデートは私のおごりにした。


夫よ、ここに懺悔します。
家族全員で、あなたのこと採点してました。
優しくて穏やかで冷静で。
そんなあなたはスルスルとトラップを潜り抜け、いとも簡単に合格ライン突破。
素晴らしすぎます。あなたは私の自慢です。


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