ドラマのシーンに固まったわけ
タイトル通り。
サラッとつぶやけば済むのだけど、上手いこと決まった字数におさまらないので、ちょっと書いてみることにした。
月曜夜10時から放送されているドラマ。
【恋なんて、本気でやってどうするの?】
若い男女6人が織りなす恋愛ストーリー。
広瀬アリスちゃんの恋人の母親役に斉藤由貴さんが出てきた辺りから、ちょっと見方が変わってきた。
恋人役の松村北斗くんのビジュアルとソフトな感じに惹かれていただけに第8話で、アリスちゃんに向かって放ったひと言に衝撃を受けた。
と、同時に
『そっか…こうきたか…』と。
ドラマの場面と我が身に起きた事とが重なった。
斎藤さんの毒親っぷりと松村くんの吐いた台詞に義母と夫を重ねてしまう。
『実際、ありえないでしょ!あんなの。』
そう!
多くの人はそう思って観ていたと思う…
大袈裟に描いているだけだ…と。
でも私にはドラマのシーンがとてもリアルに突き刺さった。
あの場面では、斉藤由貴さんが自ら包丁の先を自分に向けていた。
我が身にも似たような事が…
包丁こそ持っていなかったが、義母は自分の都合が悪くなると理解し難い行動に出る。
全てが茶番でしかないのだけど、息子としてはあんな母親の姿など目の前で見たくないだろう。
排除されるのは、やはり彼女の方になるよね…
アリスちゃんに向かって
「もう帰って…帰れ!」
そう言わざるを得なかった松村くんの気持ち…
私の場合は
「もう、ankoはいないものと思ってくれ!」
そう夫が言い放った。
それ以来、私は実家に行けなくなった。
疎外感しかなかった。
私は無いものにされてしまったのだから。
自分の妻をいないものと思ってくれだなんておかしいでしょ。
ホントは親との絶縁を言い放つ場面を想像していたのに。夫が私の手を取り、二人一緒に義母から逃げ出すシーンを。
それが出来ない人だったから夫は今も苦しんでいる。
ドラマの中の松村くんもきっとそうなのだろう。
斉藤由貴さんは他のドラマでも毒親を演じた。その時は、波瑠さんが娘役。
【お母さん、娘をやめていいですか?】
母親の暴走する姿が強烈に残る。内容ももちろんだけど、斎藤さんと義母がダブってしまい恐怖さえ感じた。夫は苦しくなって途中から観るのをやめたくらいだ。
結婚した当初は、いじわるな言い方もちょっとした嫉妬心も姑だから…と受け取っていた。
我が身に起こる出来事を他人に説明しても、実際どこまで理解してくれているのかわからない。これまで義母の話を他人にして驚かれた事は数知れず。
「それって絶対異常だよ。」
「そんなのあり得ない!」
「それ、ホントの話⁇」
みんなそう言う。
この人ならわかってくれるだろう〜と、同じ嫁の立場で義弟の嫁であるHちゃんに相談したことがある。
「お義姉さん、女優ですよ!女優にならなきゃダメですよ。」
えっ?女優⁇
当時はその言葉の意味が理解できないでいた。いや、正直、今もわからない。
サラリと言われたこちらは、もうキョトンとするしかなかった…
そう言われて、私のやりようが悪いのだろうとその時は思った。
でも…出来ない。
女優なんかにはなれない。
夫の実家とのいろいろがあるたびに悔しくて苦しくてたまらなくて。
夫に頼っていては自分を守れない!
そう思ったら自然と勇気が湧いた。
自分のために行動していったら、結果それが夫を守ることに繋がった。
だから今がある。
Hちゃんは、私のように面と向かって義母と言い合う事はしなかった。遠く離れていたから、ある程度の線引きができたのだろう。
数年前、義母が施設に入り、夫の実家を処分すると決まった際、義弟夫婦と私達夫婦4人で片付けをすることに。
実家のリビングにキルトのパッチワークのタペストリーが掛かっていたのだが、それがいつの間にか無くなっていることに気付いた。
Hちゃんが手作りした物。
かわいいウサギがモチーフで、実家の新築の際に飾られたものだ。
30年の歳月がひと目でわかるほど、それが掛けてあった場所だけ、色が違う。
「あのタペストリー、外してくれたの?」
そう、Hちゃんに声をかけた。
すると食い気味に
「いえ、アレはお義母さんが捨てたんです!」
義母が施設に入る直前、電話がかかってきたらしく、話している最中に何か地雷を踏んでしまったというのだ。
「あなたもankoさんと一緒なのね!」
と、電話の向こうで怒り狂ったという。それが原因で、タペストリーを捨てられたのだと。
杖歩行の義母が壁にかけてあるタペストリーを外す元気があるのか?と。
ちょっと理解し難かったが、人に頼めば、それは容易に出来る。
義母だったらどんな手を使ってでも実行する。
Hちゃんが、そうだと断定するのには、何か動かぬ証拠と理由があるのだろう。
私と義母との間にいろんな事があったようにHちゃんとの間にもあったのだと。
義母のことを訴えるHちゃんを見るのはこれが初めてだった。
もはや誰の手にも負えない。
義母はそんな人だ。
Hちゃんが女優を演じても太刀打ちできなかったのだから。
だったら自分のやり方で良かったのか…女優になんかならなくても。
今こうしてお互いに安全な場所にいられるのだから。
どちらにせよ、ドラマには終わりがあるけど、リアルな世界はまだこれからも続く。たとえこの先、義母がこの世からいなくなったとしてもいろんな場面で固まる瞬間があるのだろう。
この感情と上手く付き合っていかなければ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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