何らかの指令が届いた日
2月末日。
ソレは突然に起きた。
毎日ではなく、たまにある掃除機の出番。
少しだけ腰をかがめながらソファーの下をかけていた…ちょうど立ちあがろうとした次の瞬間!
ピリピリッ…
あっ!これは…
っと、一瞬思った。
腰に手を当てたまま膝から崩れ落ちた。
しばらく四つん這いになったまま動けなかった。
もうどれくらいぶりだろう〜この感覚は。
……ぎっくりさんが私のところに久しぶりにやってきた。
コロナ禍…外出も控え、散歩もしなくなってしまった。そんな頃だった…YouTubeのヨガに出会ったのは。
筋力の衰えを感じていたのでホントにタイムリーだった。
毎日、数分コースの短いバージョンだけを選び自分なりのヨガを楽しんでいた。
それからというもの経験してなかったこの痛み。
今のタイミングでぎっくり腰になるなんて…
しかも休みの日。
掃除が終わったら、引っ越しに必要なグッズを買いに行こうと息子と約束していた。
もうすぐ息子がこの家を出る。
家さがしを終えた息子が帰って来てからは、旅立ちの日に向け段取りよく進んでいた。
引っ越し当日、手伝いに行けないので、ある程度こちらから準備できるものは買って送ることにした。
あとは、日用品、雑貨、ベッドを買えば揃うよね。
そう言っていた矢先のこと。
…動けず、そのままの姿勢でじっとしていた。
しばらくして
2階から降りてきた息子が
「大丈夫⁇」
と一言。
途中で終わっていた掃除機がけの残りを息子が片付けてくれ、さて、どうするか…
行くか行かないかの選択を迫られた。
息子が迫ったわけではなく、自分自身に問いかけてみた。
大丈夫??行ける??と。
重い腰をなんとか立たせ、歩いてみる。
腰は鉛のように重いけど…まぁ、なんとか歩けた…
痛みが出てきたら途中で引き返せばいいか!そう決めて予定通り出かけることに。
車の乗り降りが難儀な作業で、買い物は息子が選んでいく後をついて行くだけ。
それが精一杯。
息子がベッドを選んでいる傍らで、ズラーッと並んでいる展示品のベッドの端にちょこんと座らせてもらった。しんどくてそのまま横になりたいくらいだったけど…なんとか耐えた😅
結構、息子は吟味する。
マットレスとかベッドフレームとか…
特にマットレスは硬めがいいからと言って譲らない。
カーテンもレースの肌触りとか遮光具合とか…
私からしてみれば、
もう、どうでもよくない⁉︎ってところをとことんこだわり抜く。
お値段以上
それ以上
ニトリ〜♬
リーズナブルが売りのお店で、
えっ!そっちの方を選ぶの?と言いたくなったが、私の方はそれどころじゃなく、重い腰の方に全集中!
そのおかげか、息子は満足のいく買い物が出来たようだ。
息子の好みもわかったし、こだわりポイントにも驚いた。
危うく、自分の好みを押し付けるところだった。うるさい母さんの余計な一言で息子を惑わさずにすんだ。
ぎっくり腰のおかげで引っ越しの買い物は息子の思い通りに運んだようだ。
それからというもの
毎日がスローペースになった。
朝、近所の整骨院で電気をあててもらって、できる作業をぼちぼちこなしている。
「座りっぱなしはいけませんよ。
なるべく動かすようにしてください。」
整骨院の若いお兄さんから声をかけてもらったので行くか行かないかで悩んでいた
パートの仕事も休まず行くようにした。
ぎっくり腰になって、マイナスのことばかり考えていたけど、周りにはそんなに迷惑をかけているわけでもない。
ゆっくりだけど、洗濯も料理もこなしている。
張り切りすぎてた自分に誰かがブレーキをかけてくれたのかもしれない。
そう考えると知らず知らずのうちに腰に手をあてている自分にも労りの感情が芽生える。
朝、夫からは
いってらっしゃいのハグと一緒に腰に手をあててもらい念を送ってもらう。
夜は、息子にちょっとパワーを!とこちらからねだって腰をさすってもらう。
ただ少し心残りなのは、ひな祭りに雛人形が飾れなかったことだけ。
旧暦のひな祭り…と考えたらまだまだひと月ある。
こうやって書いてる間も
「座りっぱなしはいけませんよー」
整骨院のお兄さんから言われたことを守っていない自分に気づき、やれやれと立ち上がり、今度は歩きながらスマホを片手に作業している自分が可笑しくて仕方ない。