人事考課、彼と私のしごと


人事考課の時期だ。実務に追われ、すっかり忘れていたけれど。

最終的にこんな風に生きたいという明確なかたちがある。恋愛はあくまで、そのおまけで。


「誰と付き合っても同じ」
「どこで働いても同じ」
は、とてもよく似ている。
言わんとしていることがズレると
人生そのものが破壊され兼ねないのが恐ろしいところだ。


「もっとやりようがあったのではないか」
「自分は誰かの役に立っているのだろうか」と
日々考える。
焦燥感。はやくはやく、と急いでも
足元がおぼつかなくては他者に迷惑がかかるだけだ。

だから、心の中では「はやく成長したい」という子供な自分を飼っており
他者への語りかけは俯瞰した「こうありたい自分」という大人な自分を心がけている。

ただ、それはほんの少し頭を伸ばした程度のもので
殆ど差はないかもしれない。無理は続かないけれど、意識程度で変化をつけられるのであればそれは継続できそうだと考えている。
それで、振り返り明日に生かしている。


能力は著しく優秀ではないものの、
「うまくやる」とか「かわいげのある」態度で臨むすべを習得した。
それは天性ではない、付け焼き刃だ。
だとしても丸腰の自分よりは他者と生きやすい。巡り巡って、自分自身をラクにする。



たとえそれが、将来をともにするパートナーでも
100%の自己開示はしないようにしている。
自分の荷物は自分で持つし
自分の食い扶持は自分でまかなう。

しかし、親切やまごころで
半分持つよと言ってくれる人には敢えて頼ったりもする。
その人はそうやって他者と関わると決めていて、持った荷物の量がそのままその人の愛情に直結したりするのだ。
手がかかる子ほどかわいいというくらいに。


「ぜひそのままのあなたで居てください。末永くうちのチームに居てください。」
と上長が言ったので、私はふふふと笑った。
数年後には婚約者の地元に帰る計画だが
私は、本当に今の仕事が気に入っている。
職務が好きだし、チームの全員が好き。事務の人も、挨拶する関係者のことも。

でも、チーム内には仕事や同僚の文句を言う人もいる。給料に見合っていない、激務だ。夜勤を減らすべきだとか。さまざま。

上を見たらキリがない。
しかし、私は文句を会社に言えるほど能力が高くない。目の前のタスクをこなし、内省し
落ち着いて取り組むのに精一杯で
あっという間に本契約になったというだけだ。

幸い、経済的にはこれまで以上に安定している。これまでが低すぎたのだ。ふつうの会社員からしたら安月給なのかもしれない。


人生に目的があるので、職種や会社選びも徹底した。なにより面接に力を入れ、聞きにくいことも聞いた。
だから今同僚が文句を言っている内容を承知の上で入社している。当然、そこに不満は抱いていない。


一番不満なのは、誰かの役に立てなかったという事実なのだと思う。あるいは、楽に見える道を選び続けること。
要領よくやるラクと、怠惰から来る楽は似て非なる。

私は無力だけれど、生まれた以上は自分の目標を達成するために前進していきたい。
傍目から見てばかげていても。立ち止まっていても。
そのためには「大変で面倒だし誰もやりたがらないけど、ちょっとは誰かのためになること」を選びつづける余裕を作りたいと思っている。それが、いまの仕事である。


労働力を賃金に換えることで生活に安定が生まれている。それだけでも良いが
どうせなら筋の通った人間でいたいと思っている。
なぜか。気分がいいからだ。
そういう自分が好きだから。


婚約者にもたぶん、仕事で幸せを感じる瞬間があると思う。今の会社は違うようだ。
辞めたらいいし、辞めなくてもいいと思う。
どちらでも構わない。
考え方や生き方に正解はない。探し続けるものかもしれない。


ただ、恋愛においては
相手の役に立ちたいとは思わない。
ずんずん進んでいく私を笑ったり呆れたりしながら
一緒についてきてくれるような人と一緒にいたい。


私は私のままでいい。
彼も彼のままでいいのだ。

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