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【ベアラビ08】プロスペクト理論で見る従業員の選択:リスクと報酬の心理学


ラビちゃん:ベア博士、最近プロジェクトを進めるとき、みんなが慎重すぎる気がするんです。いいアイデアがあっても「もし失敗したら…」って感じで、なかなか前に進まないんですよね。どうしてこんなにリスクを嫌うんでしょう?


ベア博士:それには「プロスペクト理論」が関係しているかもしれないね、ラビちゃん。


ラビちゃん:プロスペクト理論?また難しそうな名前ですね。でも、興味あるかも。どういう理論なんですか?


ベア博士:プロスペクト理論は、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが提唱した理論で、人々がリスクと報酬をどう評価するかを説明しているんだ。簡単に言うと、人は利益を得るよりも、損失を避けることに強く反応する傾向があるんだよ。


ラビちゃん:なるほど、それって損失回避バイアスと似てる感じですね。でも、具体的にどういう風に従業員の意思決定に影響するんですか?


ベア博士:そうだね、プロスペクト理論では、特に「参照点」という考え方が重要だよ。たとえば、社員が自分の現状を参照点として見た場合、新しいプロジェクトに挑戦することで得られる報酬よりも、その挑戦によって失うかもしれないものに目が行きやすいんだ。その結果、リスクを避けて、現状維持を選んでしまうことが多いんだよ。


ラビちゃん:それって、結局みんな「現状の安定」を手放したくないってことですよね。でも、なんでそう感じるんですか?


ベア博士:それは、損失の痛みが利益の喜びよりも大きく感じられるからだよ。たとえば、100万円を得る喜びよりも、100万円を失う痛みの方がずっと強く感じるんだ。だから、新しい挑戦で得られるかもしれない報酬よりも、失敗して何かを失うリスクの方が強く意識されてしまうんだよ。


ラビちゃん:うーん、確かに私も、何か失うことを考えると挑戦するのをためらっちゃうかも。でも、それだとみんな安全策ばかり選んで、会社の成長に繋がらないんじゃないですか?


ベア博士:そうなんだ。だからこそ、経営者やマネージャーはプロスペクト理論を理解して、従業員がリスクを取れるような環境を作ることが大事だよ。たとえば、挑戦を奨励する報酬制度を設けたり、失敗を恐れずに新しいことに挑戦できる文化を醸成することが求められるんだ。


ラビちゃん:なるほど。でも、博士だって新しいことに挑戦するのをためらうときがありますよね?それってプロスペクト理論の影響ですか?


ベア博士:うっ、鋭い指摘だね、ラビちゃん…。確かに、僕もつい安全策を選んでしまうことがある。でも、その時はプロスペクト理論のことを思い出して、「リスクを取ることが新しいチャンスを生む」と自分に言い聞かせているんだよ。


ラビちゃん:そうなんだ!じゃあ私も、次に新しいことに挑戦する時は「リスクを取ることが成長につながる」って考えるようにしてみます。ありがとう、博士!


ベア博士:どういたしまして、ラビちゃん。プロスペクト理論を理解することで、より良い意思決定ができるようになるといいね。そして、みんなが安心してリスクを取れるような環境づくりを一緒に考えていこう。

まとめ

プロスペクト理論は、人がリスクと報酬をどう評価するかを説明する理論です。この理論によれば、人は利益よりも損失を強く恐れる傾向があり、これが従業員の意思決定に大きく影響を与えます。経営者やマネージャーは、プロスペクト理論を理解し、従業員がリスクを取ることに前向きになれるような報酬制度や企業文化を構築することが重要です。これにより、組織全体でイノベーションが促進され、成長につながるでしょう。

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