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「やる気と食事」の最新医学|牡蠣、トリュフ、バナナ…覚えておくべき「27種の食材」
27種の食材を覚えておこう。/文・堀江重郎(順天堂大学大学院教授) 取材・構成=長田昭二
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▶︎テストステロンの値を高めれば、やる気もよみがえること、また食事を見直すことでテストステロンが高まることも分かった
▶︎すでに確立された料理にもテストステロン値を高める作用があることに気付く。中でもお勧めなのが中華料理
▶︎コロナ禍とテストステロンを結びつける栄養素として「ビタミンD」が注目されている
堀江氏
やる気に影響するテストステロン
いわゆるコロナ禍の影響で、「やる気が出ない人」が激増、それが深刻化して、うつ病を発症するケースも増えています。
私は泌尿器科医としてメンズヘルス(男性医療)に取り組む中で、またアンチエイジングを学術的に検証する日本抗加齢医学会の理事長として、「やる気」をテーマにした研究を続けてきました。その結果、現代人のやる気を低下させている大きな要因として、「テストステロン」という男性ホルモンが関係していることを突き止めました。テストステロンの値を高めれば、やる気もよみがえること、また食事を見直すことでテストステロンが高まることも分かりました。
テストステロンは男性ホルモンですが、女性にも無関係ではありません。実は女性の体にも女性ホルモン以上の血中濃度で存在し、女性のやる気にもテストステロンは影響を及ぼしているのです。
男性の体におけるテストステロンの役割は、骨や筋肉の強度の維持、性欲や性機能の維持、血液を作る働き、動脈硬化やメタボリックシンドロームの予防、認知機能の維持など、広範囲に及びます。これらはいずれも健康面での役割ですが、テストステロンには男性の生活面でも大きな役割があります。一言でいうと「社会性の構築と維持」です。
古来男性が担ってきた、野を駆けて獲物を追いかける、あるいは海に出て魚を獲るなど、危険を伴い、体力を必要とする活動の原動力がテストステロン。まさに「獲物を獲って家に持ち帰るホルモン」なのです。
これは現代においても同様です。仕事で目標を達成する、収入を得て家族に感謝される、そして明日へのエネルギーを得る――。社会や周囲に認められる時、とりわけ多額の金銭が動く取引や、社会が注目する政治判断を下す瞬間など、リスクを伴う行為をする時、テストステロンが特に重要になるのです。
こう書くと、男性の強さをテストステロンが司っているように見えるかもしれませんが、それだけではありません。実はテストステロンは、「嘘をつかない」「不正を嫌う」作用を脳に及ぼします。所属する集団や社会が正しい方向に向かうために自分を犠牲にする決断や行動をアシストする働きも持っています。テストステロンは、「強さ」を「正義」に向けさせる「社会性を持つホルモン」といえるでしょう。
男性のテストステロン分泌量は20代から30代をピークに、その後はやや下がるものの、基本的には加齢の影響を受けません。ただし仕事に達成感がない、周囲から評価されない、あるいは定年後に社会とのつながりが希薄な人は低下します。極端な場合、40代で著しくホルモンが減ってしまう人(これを「LOH症候群(男性更年期)」と呼びます)がいる一方で、80代でも若い人並みのホルモン量をキープしている人もいます。
では、女性はどうでしょう。ジェンダーとしての「男性性」を維持することがテストステロンの社会行動の役割なので、仕事をしている女性の体では、テストステロンが働いています。ジェンダーフリーが叫ばれる現代において、テストステロンの重要性は高まっているのです。
ちなみにテストステロンは、男性は大半が精巣(睾丸)で作られ、一部が副腎や脳からも分泌されているのに対して、女性は副腎と脳の他に卵巣でも作られています。
食材は身近なものばかり
そんな「元気の素」であるテストステロンが、コロナ禍では減少している可能性があります。テストステロンは他人と交流することで分泌されるからです。コロナ禍で世界的にうつ状態が増えていますが、これもテストステロンの減少が関与している可能性があります。またテストステロンの分泌量が低くなると新型コロナウイルスに感染したときに重症化しやすいというデータも出ています。
テストステロンの減少を防ぎ、分泌量を高める方法の一つに食事があります。テストステロン値を上げることがわかっている食材を列挙しましょう。
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