ニコラス・カルペパーの窓|古典技法 KANESEI 《2》|函のかなたの世界を見る
異端の魔術師が姿を消したとき、彼のアトリエには大量の函だけが残されていた。
大きさも材質も意匠もさまざまな、函——。
一体どんなものが入っているかわかったものではないと、人々は怖れて手を触れることもできなかった。
湖上の魔術研究所から、賢者たちがアトリエを調べにやって来た。
彼等はおそるおそる函を開けてみたが、中には何も入っていない。
どの函もどの函も同じである。
しかし手を尽くして調べてみた結果、函はそれぞれ、特定の月と星の相の下でのみ真に「開く」——とい