決して一人じゃなかった。~関東インカレ レースレポート~
レース前日
近くの道の駅でハイエースに乗り込み、チームメイトと楽しく話をしながら会場を目指す。いつも一人で車を出し、一人で試合を迎える自分にとっては新鮮だった。いつも感じる移動疲れは不思議と感じなかった。(運転してないからだろ。)会場につくと試走を行い、受付を済ませ、開会式に出席した。その後買い出しに行き、食事をとり、ミーティング。サポートにやってほしいことを伝え、ポケモンパンを開けヘルメットをデコッてから床に就いた。もうやり残したことは無い。
コンディション
気温23度。水温18度。かなり寒いコンディションであった。想定していた、蒸し暑いサバイバルレースとは全く違う小雨交じりの肌寒いコンディションであった。一応長袖類を持ってはいたが、前日の暑さから、不覚にも大半をハイエースに乗せっぱなしになっていた。周りから上着を借り耐え忍ぶことに。
Swim 26'36"(96)
女子と東北・北海道男子のレースを終え、13時30分。いよいよ関東男子のスタートとなった。まずは入水チェック。冷たい。冷たすぎる。水から上がると少しクラクラする。これはまずいなと思った。終わった後話を聞くと5、6人棄権者がいたそう。それだけハードなスイムだった。とにかく無駄なバトルを避けるため外側からスタート。自分のテンポで体を温めていく。ヘッドアップをすると少し外回りすぎるかなとも感じたがコース取りは間違いなかったようだ。水から上がり時計をちらっと見ると26'台。これはもらったと思った。想定では27'ちょいかかるかなという感じであったから26前半はかなり調子がいい。そんなことを考えていたら遠くから「古俣96!まずいぞ!あげてけ!」と声が聞こえた。はい?
Bike 1°04'14"(46)
96位と聞いてかなり焦った。トランジでゼッケンベルトがはまらず一人でブチギレ。バイクに乗り込んでからもうまく靴が履けず失速。まずは落ち着くところからだと言い聞かせ、ジェルを飲んでから気持ちをリセットする。パワーを見る限り調子が悪いわけじゃない。陸に上がってからが勝負なのだから、この展開も想定していた。大丈夫。後ろからチームメイトに追いつかれ、ドラフティングを取られないように間をあけながら前を追う。エアロは間をあけているため勿論もらえないが、近くで仲間が一緒に頑張っていると思うとメンタルは少しずつ持ち直してきた。
とにかく下りを攻め、のぼりを淡々と踏む。頑張りどころを把握して適切なギア選択をする。これを徹底した。しかしながらコーナーやUターンにはまだ改善点があり、タイムが削れる所ではある。バイク終了時点聞こえてきた声は「古俣72位!」という掛け声であった。
Run 36'07"(9)
インカレの地域枠は52位だ。シードがどうとかは一旦置いておいて52位までに入らなければお話にならない。そう、ここから20人は抜かなくてはならない。そんな焦りを抱えながらトランジに入りシューズを履き替える。シューズを履き替えようとすると前腿をつってしまった。もう既にバイクの疲弊具合が伺える。また、用意しておいたキャップとジェルが見つからない。また、焦る。探していては埒があかないと考え、諦めて走り始める。やはりつってしまった右腿が芳しくない。足を庇いながら、とにかく前にいる人間を抜き続ける。ペース配分など関係ない。ゆっくり入ったら20人も間に合わない。そんなことを考えながらとにかく突っ込んだ。中盤でサポートから52位と教えてもらいここで安堵する。しかし、俺のレースがここで終わるわけがない。「シードのせいでボーダーがわからなくなってるから後10人抜いてこい!」本当に俺って人間は簡単には行かない。そこからはほぼ記憶がない。とにかく走り、周回遅れだろうか関係なく、抜き続けた。
Overall 2°06'57"(40)
気づけばゴールだった。終わった瞬間、チームの皆んなやつくトラの皆んなが良くやったと声をかけてくれた。正直何をやったのかわからなかった。それが全日本インカレの出場を決めた事だと気づいた時には涙が出ていた。今までの競技人生で悔し涙は沢山してきたが、嬉しくて涙が出たのは初めてだった。とにかく苦しくて苦しくて仕方が無かった2時間だったけれど、最後の最後で喜ぶことが出来た。補給の仕方やバイクのライン取り、レースプランやそもそもの泳力。改善することはまだまだある。それでも、今はこの喜びに浸りたいと思う。
最後終わってみれば、多くの仲間に助けられたレースだった。それはこのレースが始まる前からずっとだったのに、やっとここで気づくことが出来た。アフロに見守られ、つくトラに鍛えられ本当に多くの仲間を得た。しかも大学ラストイヤーで。トライアスロンを始めた時、学生登録をしてここまでやろうなんて思いもしなかった。陸上をやっていた時みたいに、一人で計画を立て、一人で終える。そして勝手に孤独だって喚いていただろう。一人じゃ何もできない癖に。陸上をやってた時もそうだったはずなのにここで気づかされた。僕は決して一人じゃなかった。
最後に
全日本インカレまで後2か月である。アツい夏を乗り越え、最高にアツい1日が待っている。全カレのレースフォーマットは、ランナーの自分からすればリザルトを残すことにも苦労する。しかし全カレでリザルトを残すということは、大きな財産になる。そのために残りの2か月、全力でトライアスロンに挑みたいと思う。まだまだ、トライアスリートとして足りない所だらけだろうが、そんな自分を見守って欲しい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?