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栞の数だけ人生は彩る

二三年前に買って途中まで読んだエッセイを久しぶりに開いた。

そこには『明日もっと、笑えるように。』という当時の彼女から貰った栞が挟まっていた。

確か嵐の櫻井翔くんの個展グッズだったと思うが、貰ったときはすごく嬉しかったと同時に最近あんまり本読まないから使う機会少ないかもしれないと申し訳なさを感じた覚えがある。

だからエッセイを買ったのか、たまたまその時にエッセイを読んでいたのかは今となっては思い出せない。


『明日もっと、笑えるように。』という言葉の栞、なんだかすごく粋を感じる。

言い切っていないのが心地いい。

僕はエッセイを読む時はきまって少し感情が渦巻いている。ああでもないこうでもないという感情と思考がどうしようもなくなった時にエッセイの世界に逃げ込む。

そこでこの栞が「笑えるようになる」とか言ってきたら無責任に感じて嫌だし、「笑えるようにする」とか言われても誰が?って余計な考え事が増える。

遠いようで近いような場所で『明日きっと、笑えるように。』と誰かが願ってくれているかもしれない。

誰かが、どこかで、かもしれない。ぼやけた解像度に安心感を覚える。


昔は栞なんてひとつあれば十分と思っていた。たぶん目の前のことに一直線だったんだろう。

最近は複数のエッセイを気分に応じて読み替えるし、話題の本を読んでみたり、読んだ本の好きな箇所に栞を挟んだままにしたり、なにかと栞が必要になる機会が多い。

人生も長くなっていくにつれて、忘れたくない大切な言葉や出来事が増えていく。だけど案外すぐには思い出せない。

だから栞はたくさんあればあるほどいい。

栞の数だけ人生は彩るし、栞を挟む箇所のセンスに人生は宿る。


大丈夫と言うことから大丈夫は始まるのだ。

若林正恭 社会人大学人見知り学部卒業見込

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みんみ
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