会社をズル休みした日
嗚呼。今日は、もう何もしたくない。身体がだるい。布団がいつもの倍は重く感じる。まぶたはもっと思い。
あれ?今日は何曜日だっけ?会社に電話を入れる。
「はい 体調が優れず、熱もございまして… ええ、はい」
あーあ、休んでしまった。怠惰そのものだ。あーあ。
休むとなれば自由なのに。休むとなれば、どれだけだって眠れるのに。休むとなれば。
身体はもっと動かなくなって、大きな罪悪感が押し寄せて、眠気はどこかへ行ってしまった。
ここからは、大抵いくつかのパターンに分かれる。
布団にもっともっと深く潜り込みもうひと眠り、いや、もうふた眠りする。そして、トイレに行きたくなるのを待つ。そして更に、もう“さぶ眠り“する。
もしくは、トイレを口実に起きた後、歯磨きをして白湯を飲み、洗濯物を回してテレビをつけてサブスクを観始めてなんだか充実した1日を過ごしている気になる。
…だが、今日は違った。先週末IKEAに行って買ってきた、ガーデンテーブルセットとやらがあるのを思い出した。「そうやん 憧れのべランピングできるやん」
ひと通りの朝のルーティンを終えたあと、ダンボールからズリズリ出してテーブルを組み立てる。チェアーはアウトレットなので段ボールにすら入っておらず、組み立てたテーブルといっしょにそのままベランダに放り出した。
ぐつぐつぐつ。更に重い腰をあげてインスタント麺を作り始める。「あ、ほうれん草とコーンとたまごも入れとこ」スープの香りに深みが増して、最高のお昼ご飯が出来た。
おぼんにラーメンと2杯目の白湯とコーン茶のボトルと、いくつかのチョコレートを乗せてベランダへ向かう。
テーブルセットにそれらをのせてひとこと。
「完璧」
そこからは至福そのもの。駆け抜けるバイクも電車も車も、遠くを歩いている人々も、いつもと違く素敵で愛おしいものに思えたし、インスタント麺のスープだっていつもは残すのに美味しくって全部飲んでしまった。
ひと息ついて、思った。
「いつになったら治るかなぁ」
持病が悪化し、数値が5倍にもあがって薬は4倍にもなっていた。白湯で飲む薬はとても苦い。ああ病気なのかと言う気持ちにさせられる。
…と言っても、死に至ることはないし、生活やこれからの人生に、大きな支障は無いのでモーマンタイ。
明日は来る。
さくらの木が揺れる。花びらが舞う。葉が少し見えた。
明日は何をしようか。