朝食探しの旅はまだまだ続く
朝はもともと食べない派だったけど、子供が生まれて保育園に通うになると作らざる得なかった。
1歳から通っているので、初めは離乳食に毛が生えたような、おじやをアレンジしたメニューが主だったように記憶している。
前の日のあまりのご飯を、前の日の残りのお味噌汁に放り込み、卵でえいやっとまとめる。
味噌汁ご飯の他には、前の日のコンソメスープに前の日のご飯を放り込み、チーズでえいやっとまとめる、なんちゃってリゾットも頻発した。
元々汁物には野菜をたくさん食べてほしい母心が詰まっており、かなり具沢山にしていることが多いので、ごはんと野菜を一緒に食べられる一石二鳥なメニューなのだ。
基本的に汁物には少なくても3種類の野菜、冷蔵庫に入れられそうな食材があれば出来るだけ入れてしまおうというルールでやっている。
しかも卵やチーズを入れることで、たんぱく質も補える。
手軽にできる割には、子供の食い付きも良くて重宝していたのだけど、そう息子が飽きてしまったのだ。
うちの息子は気に入れば何日も食べ続けるが、飽きた途端パタリと食べなくなる性質を持ってることが後々判明する。なんてこった。
そこから、私と息子の朝ごはんの旅は始まった。一応言っておくと、夫は朝ご飯を食べない。
次にはまったのが、一口おにぎりだ。
確かダイソーで購入した、フリフリすると一口大のおにぎりが3つできる道具が大活躍した。
ふりかけをちょっと入れて、ご飯を詰めて、力いっぱい振る。お皿にカンカンと打ち付ければ、コロンとおにぎりが出てくる仕組み。
この工程にドはまりした息子は、来る日も来る日もおにぎりを作り、食べ続けた。
野菜が取れないことは気になったけど、目をつぶった。ある時はトマトを添えてお茶を濁した。
そして飽きた。
その次にはまったのが、卵焼きだ。
小さくて四角い卵焼き専用のフライパンで作る、だし巻き卵。
卵液に少しマヨネーズを入れるとふっくらすることを知り、試してみたのが謎のヒットを生んでしまった。
息子はマヨネーズを入れる行為にはまってしまったのだ。
マヨネーズチューブを小さいおててでブチューとボウルに入れては、キャッキャ喜んだ。
毎回少しづつ多くなるマヨネーズを、まあいっかとかき混ぜて卵焼きを作る。
卵2個で作る私の卵焼きは、3回ほどに分けてフライパンに流し込まれ、くるくる巻かれていく。
高校生の頃、なぜか卵焼きだけは母に仕込まれ何度も練習したので、上手に作れる。
その様子を見るのが好きな息子は、自分用の踏み台を持ってきて陣取ってみていた。
目の前に陣取られるので、窮屈な動きになった私の菜箸はたまに卵を突き破ったけど、ご愛敬だ。
朝が来る度に跳ね起きて、卵作ろう!と誘いをかけてくる息子。
作るのは大好きだけど、食はだんだん進まなくなり。
つまり飽きた。
その後も海苔をおにぎりを作ったり、ウインナーを挟んだロールパンにはまったり、コーンスープにちょんちょんとつけて食べるパンにはまったり、紆余曲折あった。
終わりを迎えるときは突然。食べないの一言で、終わるのだった。
そして今、彼がはまっているのはホットドッグ状のパンを横にスライスして、そこにハムやチーズ、トマトなんかを挟むサンドイッチだ。無駄な味付けはしない。バターとハムの塩気で食べるのが今の気分らしい。
大人だ。
そこにトマトやらきゅうりやら、とりあえず野菜をねじ込もうとしている母心。
保育園で食べてるから大丈夫、保育園で食べてるから大丈夫とおまじないの様に唱えて、心を落ち着けている。
もうしばらくしたら、また息子は飽きて次の朝食探しの旅に出るだろう。
彼が生まれる前は、朝ごはんを食べるよりも睡眠を優先していた私。
午前中血糖値が上がらず、寒い寒いと震えていた私。
そんな私が、彼の朝食探しの旅の伴走者なのだから、人生何が起こるか分からない。
明日の朝は何食べようかな。
眼鏡にして!と泣いて時間無くなってご飯食べられない時もあるよ。
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