見出し画像

#きょうのコピー437日目

今回はコピーも素晴らしいのですが、ボディコピーが秀逸な広告をご紹介します。

ボディコピー、難しいんですよね。コピーより難しい。

早速ご紹介します。

海も山もある故郷を、なにも無い町と呼んでいた。


小さくまとまりたくないと、
ふるさとを飛び出して二十年。
猫の額ほどの家から、肩をすぼめて電車に乗り、
小さな会社の、小さなデスクに通う。
そんな未来が分かっていても、
あの日の俺は同じ決断をしたのだろうか。

夜十一時の居酒屋のカウンター。
ひとりで呑むのも、もう慣れた。
目の前には、地元のお酒と、
地元の名物だった鰯のへしこ。
親にはもう5年近く顔を見せていないが、
胃袋だけは、こうして毎週帰省している。

あの町には、海があり、山があり、
魚がいて、酒があった。
友人がいて、家族がいて、
たしか、恋人だっていた。
何も無いのは…

思わず、日本酒に手が伸びる。
何も無いのは、都会の方だったのかもしれない。

少し濁ったお酒を眺めながら、
東京でどうしても見つからないものたちを、思う。
いつしか手の上のスマートフォンは、
新幹線の予約画面を開いていた。


今宵も、一杯。
五明

思わずじっくり読んでしまうボディコピー。すごい。

コピーライターは細田高広さん。

コピーは文字数が少ないから、瞬間的に読める(見られる)けど、ボディコピーはじっくり読ませるだけの技術がないとダメ。

とくに冒頭がつまらなかったら、そこで離脱してしまう。ボディコピーってすごく繊細なんです。

こういうボディコピーが書けるコピーライターになりたい。

おしまい
書いた人:和田裕史

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?