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断食?絶食?⑧「からだ」の中へ編

口腔内の機能と食道

「断食?絶食?④味覚編」で味覚は消化器官にとってとても重要な役割があるとお話しをしました。 
味覚は「からだ」を危険から守り、消化器(胃)に準備をさせるためにあると考えられています。 この食べ物は危険だからたくさん食べないように、そして食べ物が入ってくるから準備をしようということです。
口から入った「食べ物や飲み物」はその後どうなるのか?
口に入り咀嚼をしていると唾液が混ざり合い味覚を刺激します。
ある程度の咀嚼は必要ですが、味がなくなるまで細かく咀嚼する必要はありません。 あくまでも唾液を分泌するために咀嚼します。 一般的な解釈は食べ物を柔らかくし飲みやすくするということでしょう。
唾液の成分には
・粘膜保護
・殺菌作用
・酵素
・歯のための物質
・緩衝作用
・免疫抗体
・口腔内のためのホルモン
など、とても大切な物質が分泌しています。 咀嚼は単に食べ物を噛み砕き細かくし柔らかくするというだけではないのです。 

・咀嚼時の「唾液の量」
・歯で食べものを噛む「咀嚼力」
・食べ物や飲み物を「飲み込む力」
など、口腔内の機能低下が起こるといろいろな症状が出てきます。 食べ物は咀嚼後、食道に入っていきますが、口腔内の機能が低下していると気管に入る「誤嚥性肺炎」の原因にもなります。
口腔内の機能が低下する理由は
・水の飲み方
・味覚を味わって食べない食べ方
・次から次へ食べ物を食べてしまう早食い
・テレビやスマホなどを観ながら食べる習慣
などです。
これらは胃の消化力や食道の筋力が、低下する原因にもなってもいます。
舌は味覚を感じると唾液腺から唾液を分泌し、食べ物は舌で歯に送られ歯で食べ物を咀嚼し、食べ物と唾液が混ざり合い、混合物は舌で押し出され食道に入っていきます。 食べ物は舌と歯の連携によって「からだの中へ」入っていくのです。 食べ物は食道を通り胃に運ばれますが、食道の筋肉は逆立ちの状態で食べ物を食べても逆流しないほどの筋力で、食べ物が入った食道は隙間なく食べ物を包み込むように蠕動運動し胃に運び入れます。
飲み込む力が弱いということは、
・舌が食べ物を押し出す力の低下
・食道の筋力の低下
・食道の蠕動運動の低下
が考えられます。
さらに、胃の入り口にある噴門括約筋の筋力が低下すると、「逆流性食道炎」の原因になります。 胃の噴門括約筋は食道と胃を分け、胃液(強酸)を逆流させない働きがあります。
 
さきほどの口腔内の機能が低下する理由を挙げましたが、ここでは「水の飲み方」についてお話しします。
薬は水に溶けないと吸収しませんから十分に水が必要です。
食事中についてはどうでしょう。
食事中に水を飲む必要はあるのでしょうか。
食事中に水やお茶などを飲む理由について挙げてみましょう。
例1)「こまめな水分補給」
ひとつ紛らわしいのは、日ごろから熱中症予防のため「こまめに水分補給」などと言われているので、食事中も摂った方がいいと誤解している人も多いかもしれません。 飲むなら食事中ではなく食事前や食事と食事の間に摂ることをお勧めします。
例2)「喉に食べ物が詰まる」
喉(食道)に食べ物が詰まらないようにと思う人もいるでしょう。 味覚を感じ咀嚼して唾液をしっかり出すようにすれば問題ないはずです。 唾液が出る前に飲み込むと唾液が食べ物がまとわれていないので飲み込みずらくなります。 「舌の体操」や「唾液のための体操」などをして唾液を分泌させましょう。
例3)「むせたり、咳がつく」
食べ飲みした物が気管に入りかけると「むせたり」「咳き込み」ます。 止めるために水を飲む人もいるでしょうが、残念ながら「むせたり」「咳き込んだ」時に水やお茶を飲んでも、水やお茶は食道に流れてしまい症状は変わりません。 咳が出るということは、食道と空気が入る(気管や肺)分かれ目の「喉頭蓋」という蓋がしっかり閉まらず、隙間から気管内に異物が入ると咳を出して異物を気管の外へ出そうとする「免疫機能」が働くからです。 普段、呼吸をするために開ている「喉頭蓋」ですが、食べ物や飲み物が入ると、舌と歯が連携し咀嚼し、食道へ押し出すと同時に「喉頭蓋」も閉じるという連携をしているのです。
 
食事中に「一切の水分を摂らない」ということではなく、味噌汁やスープなど100~150㏄程度の量を食事の間、ゆっくり少しづつ飲むことに問題はありません。 水やお茶をたくさん飲むことはお勧めできません。 
食事中に水やお茶を多く摂る問題点は
①     咀嚼力が低下する
②     唾液の分泌が減少する
③     舌の力が低下する
④     食道の蠕動運動が低下する
⑤     腎臓の血液ろ過装置にかかる負担が増える
⑥     膀胱の筋肉の伸縮力が低下する
⑦     胃の消化力と貯蔵力が低下する
などです。
食事中の水やお茶の摂り方は大いに考え直さなければいけませんし、「からだ」の仕組みを知り、上手に「からだ」と付き合っていく必要があります。

ここまでは「口腔内の機能と食道」に関わるお話しをしてきましたが、次回⑨は「胃」、⑩は大腸のしくみをお話しする予定です。
そこで「断食?絶食?」シリーズを終えたいと思います。
今後は「からだ」の知識を通して、皆さんとメンバーシップなどで繋がり、体操を一緒におこないたいと考えています。


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