赤いメロン

それは芳醇な香りを放つ
とても淡い幻であった
悪戯っ子が見つけた宝石
夕陽を閉じ込めた缶詰

扱い方がわからなくて
誰にも近づけない森のよう
恐る恐る開いてみたら
やはり芳醇な香りを湛えて

淡い幻に包み込まれるのだ
まるで悪戯っ子みたい
ずずずと涎を垂らすのだ

信号機は全ての灯りを消す
わたしたちが帰るべきだった
長く伸びる影の世界へと

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