一夜を賭した夢

誰かのいない喪失は
曇り硝子にかけた吐息
自覚するまで気づけずに
無意識に拭い取るのでした

何かの欠けた人生を
思い出すまで思い出す
代わりの喜びを知るまで
ずっと涙に暮れるのでした

景色は変わりました
時間は移ろいました
わたしは独り旅に出ました

とても長い旅でした
一度の生では叶わない
一夜を賭した夢でした

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