あんばい

鼓動はすぐ止んだ
非業の死を遂げた
余情はすぐ消えた
未曾有の宵だった

雷神が温めた熱燗を
風神が隣で冷ました
ちょうど良い塩梅の酒で
ちょいと酔う初秋のころ

ぼくになりつつある肉が
誰かの抱える憎しみの雨
健気に大空へ思い馳せて

ぼくになりつつある骨が
どこの馬の骨とも知れぬ
気丈に大地を踏みしめた

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