きみの名前のワイン

きみの名前を冠したワインを作りました
ぼくは酒に弱くて味わうことができなくて
せっかく美しいガラス瓶を用意したのに
存在しても仕方ないから地面に叩きつけた


今や香りだけが残されたきみの名前
どんな味がしたのだろう
真っ赤に地面を染めたきみの名前

どんな味がしたのだろう


能わぬ欲望に脳みそが腐っていく
身勝手な妄想が発酵している
存在しないものに名前をつけてしまう


ぼくの中で醸造されたワイン
きみの名前のワイン
存在しないものの名前をつけてしまう

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