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広州・西関の下町グルメで食い倒れ!

広州は言わずと知れた食の街。「食は広州にあり」は伊達ではなく、どこに行っても美味しいものが食べられます。今回は、その内、広州でも歴史が古く、清代〜民国時代の街並みが残る茘湾区・西関エリアに行ってきました。

1.広州の西関文化と新観光地「永慶坊」

広州は2,000年以上の歴史を持つ古い都市です。かつては城壁に囲まれた都市エリアが形成されていました。

清代に入ると「広東貿易体制」と呼ばれる鎖国制度が始まります。これは日本における長崎の出島のように、中国とヨーロッパ諸国の貿易を広州だけに限定し、「十三行」と呼ばれる独占的商人が一手に貿易を引き受けるというものです。

この時、「十三行」が置かれ、税関が置かれた場所が、西側の城壁の外側、珠江にとの間に挟まれたエリアでした。今の地名では「茘湾区」。かつては「西関」と呼ばれた場所で、国際貿易に関わった豪商や関連の人々が住み付き「西関文化」という独自の文化を築きました。

広州には「西関のお嬢さん,東山の若旦那(西关小姐,东山少爷)」という言葉があります。かつては広州の城郭を挟んで西側の"西関"にお金持ちの商人が、東側の"東山"に高級役人の家族が住んでいたことから、「結婚するなら西関の娘と東山の息子がいい」と言われていたのです。

ここはその後、イギリスに向けたお茶の貿易の中心地、そして、アヘン密輸入の中心地になります。行き過ぎたアヘンの流入は、アヘン戦争を引き起こし、南京条約で中国の港が開港されるに至ります。これにより、広東貿易体制は崩壊し、貿易の主役の座は徐々に上海に移っていくことになりました。また、イギリスは、広州を中心とした貿易体制を嫌がり、マカオの対岸に位置する広東省の一部「香港」を割譲し、今に至る政治的な禍根を残すことになります。

そんな”西関”は、今も、「騎楼」と呼ばれる独自の建築スタイルの建物が数多く残り、古き良き広州文化を色濃く残すエリアとなっています。3種類のドアを組み合わせた独特のスタイルの入口や、カラフルな満州窓(満州と名が付くが広州独自のステンドグラス窓)など、かつての華やかな商人たちの暮らしが偲ばれます。

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しかし、かつて一世風靡したエリアも、時代が変われば下町となります。古い街並みが残るこのエリアは、しばらく中国の経済発展による大型開発からは取り残されていました。建物が老朽化し、中には取り壊される歴史的建造物もありました。

そこで、現在、茘湾区は、建物の保存と観光地化に乗り出しています。その中でも特に注目されているのが「永慶坊」と呼ばれるエリアです。元々、広州に残る伝統的な粤劇の名優たちが集った場所だった「永慶坊」。今は「粤劇芸術博物館」が設置され、その博物館を囲むように古い家屋をリノベーションしたおしゃれな街並みが並びます。

2018年には習近平国家主席が視察に訪れたことで一挙に注目を集め、瞬く間に新たな観光スポットになってしまいました。先日、中国の大型連休でも多くの人出で賑わっていました。

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2.西関を食べ尽くす!

さて、今回は、そんな西関を、生粋の地元っ子に案内してもらいました。目的は何と言っても、西関周辺の下町グルメ。この辺には、知る人ぞ知る老舗の名店が並ぶのですが、やはり外国人には分かりにくいもの。地元の人に案内してもらうのが一番。ここからは、そんな西関の下町グルメを紹介します!

◉老舗「陳添記」の魚皮
老舗「陳添記」の魚皮です。人気になり過ぎて偽物の店ができるほどの有名店だそうです。魚の皮(何の魚?サメ?)を胡麻やピーナッツ、葱、唐辛子などとあえ、お酢や醤油、ごま油などで味付けしたものです。

実は、私は魚皮料理は結構好きで、これまでも何度も食べたことがありました。しかし、この店の魚皮は別格でした。魚の皮はコリコリした歯応えで、胡麻の風味が絶妙にからんできます。そして、時々口に入る葱やピーナッツの食感が、またいい!一時期、跡継ぎ問題が起こり、廃業の噂もありましたが、娘が承継することで解決したようです。まだしばらく美味しい魚皮が楽しめそうです。

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斋烧鹅
広東料理には、定番の「烧鹅(ローストガチョウ)」という料理があります。ガチョウを丸々焼き上げたもので、香ばしくジューシーな肉料理です。しかし、この「斋」の字は、精進料理を意味する言葉です。精進料理の「烧鹅」…、つまりガチョウの肉ではなく豆腐で作ったガチョウの肉料理のようなもの、という料理です。
道端のおばちゃんが何気なく作っている「斋烧鹅」はこれまた絶品。豆腐の皮に味付けして蒸したものを、更に黄金色に焼いて作った料理。味は、どことなく烧鹅っぽいかなぁ、という程度ですが、普通に豆腐の皮を使った料理だと思って食べても十分箸が進みます。

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仔糕
「钵仔糕」とは、蒸した砂糖とうるち米の粉で作ったお菓子です。甘くて、ういろうのような食感があります。中は微かに透明がかっています。いただいたものには、桂花が入っていて、香りも楽しめました。竹串で刺して食べる感じが、B級グルメ感をそそりますよね!

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◉名店「凌記」の瀬粉、腸粉、揚げワンタン、ココナッツ凍餻、マンゴー凍餻

続いては、今回の一番の目的でもある、名店「凌記」です。
最近では少なくなってきたそうですが、広東の伝統料理「瀬粉」を出す店で、この日も、多くの人が並んでいました。「瀬粉」とは、米の液で作る麺の一種で、円柱型の生ビーフンです。ただ、長さは短く5~10cmくらい。ツルツルした食感で、マカロニに近い感じです。香港には、朝食でよくマカロニスープを食べますが、味としてはそれに近い感じです。オススメの食べ方は、揚げた魚皮をトッピングするというもの。魚皮のサクサクと瀬粉のツルツルが絶妙にいい感じでした!

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ここでは、他にも「腸粉」「揚げワンタン」「ココナッツ凍餻」「マンゴー凍餻」もいただききました。「腸粉」は広東一帯で不動の地位を保つ米粉で作った点心の一種ですね。「ココナッツ凍餻」「マンゴー凍餻」は、それぞれ、ココナッツ味、マンゴー味の杏仁豆腐のような感じでした。

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芝麻糊
最後はデザートです。「芝麻」とは、中国語で「ゴマ」のことです。「芝麻糊」は、ゴマのお汁粉のような食べ物です。西関の伝統的なデザートの一つだそうです。訪れた店では、店先で店員がひたすらゴマをすり潰しています。しかし、味は黒胡麻、杏仁、ピーナッツ、クルミから味が選べて、更に半分ずつという選び方もできました。中に団子を入れるかどうかまで選択できます。もちろん団子入り。中国の団子は、日本より大きくて食べ応えもあり、とても美味しいです!

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さて、今回は、かつての広州の文化を色濃く残す茘湾区の西関エリアから、地元っ子おすすめの料理を紹介しました。中国は、よく道端で「小吃」と呼ばれる、ちょっとした食べ物を提供する店があります。この「小吃」の店には、その地方独特の食文化が凝縮されていて、食べ歩きが楽しいですよね。ただ、今回紹介したのも広州の「小吃」のほんの一部です。コロナが終息したら、ぜひ広州を訪れて、お腹がはち切れるくらい食べ歩きしてみてください!


《 ライチ局長の勝手にチャイナ!vol.21 》

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