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秋の穂高|インタビューのワークショップと、非構成的エンカウンターグループ
10月。安曇野の穂高養生園で、2つのワークショップをひらきます。「インタビューのワークショップ」と、あと昨年から再開した「非構成的エンカウンターグループ」。どちらも4泊5日。
インタビューのワークショップ … キャンセル待ち受付中(9/24)
非構成的エンカウンターグループ … キャンセル待ち受付中(10/7)
インタビューのワークショップ
「きき方」。ひいて言えば「かかわり方」を取り扱う4泊5日です。自分の「きき方」を体験的に再構築したい人はどうぞ。ペアワークを重ねながら進めるので、「はなす」体験も多いのが特徴です。
いきなり余談ですが、今年私は「駒沢の生活史」というプロジェクトに取り組んでいます(『東京の生活史』のスモールタウン版)。で「生活史ってなんだろう?」ということを、最近よく考えていました。
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オーラル・ヒストリー。社会学の質的調査。生活文化の聞き書き。民話採集など、近しいものがいくつもありますが、〝生活史〟の定義は人によって異なります。
個人的には、昨年出版された『小山さんノート』(ホームレスの女性が遺した無数のノートから編まれた一冊/エトセトラブックス)や、近年の日記ブームも、同じ風景の中で展開している気がする。共通するのは「人を変えようとしていない」ところでしょうか。
自己啓発に限らず、私たちを「変えよう」とする情報が多い。それが増えに増えて、経済的に余裕のある人はたとえばあまり広告のない空間にいるけど、そうでない大多数は、飛び込んでくる「ああしろ」「こうしろ」に日々晒されている。言葉であれなんであれ。
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「きく・はなす」に話を戻します。よく「人の話を上手に引き出せるようになりたい」と語りかけてくる人がいます。
この「引き出す」に「相手を変える」意図はたぶん含まれていない。けどちょっと考えてみない?と思うんですよね。
「引き出す」という言葉は、聞き出す側に軸があります。引き出す巧さが「聞き手が聞きたい話を聞く」ことになってしまっているのは多いと思う。インタビューに限らず、ごく日常的な関係性の中でも。思惑をもって相手にかかわってゆく時点で、「引き出す」も「変える」も似たところがある。
そうでなく、軸を〝話す〟側に置いてはどうかな? 「話し手が話したいことを話すのを可能にする」というか、「本人がより自分を表現できる時間を一緒につくる」というか。
そんな技術とセンスを、集まったメンバーで互いに模索しようという4泊5日です。
端的に言うと面白い。私は好きなんですよね、この時間が。「きく」側であれ「はなす」側であれ、本人がより本人になる。ひとが「いる」感じが増してゆくので。
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話しながら人は少しづつ変化します。私自身もこの場を通じて変わってきました。
穂高養生園での滞在の特徴は、食事と森と温泉かな。あと個室。どうぞご検討ください。
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インタビューのワークショップ・4泊5日
2024年10月20日(日)〜24日(木)
穂高養生園/新棟
https://www.yojoen.com/pr/index.html
定員:7名
参加費:83,000円
宿泊費:82,000円(個室)
>お申込み(Googleフォーム)
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非構成的エンカウンターグループ
「非構成的エンカウンターグループ/Basic Encounter group」は、カール・ロジャースが心理士の育成のために拓いた手法で、晩年はそれをさまざまな社会的葛藤の現場に応用していました。
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たとえば「鋼鉄のシャッター」という記録映画があります。北アイルランド紛争に至るカトリックとプロテスタントの憎悪的関係。その当事者同士が集まって、輪になって話を交わした3日間の様子が1時間に編集されている。
殺し合ってきた立場の人間同士が、語り合ってどうなったかは、ここでは触れずにおきます。
ここには紛争というモチーフがありましたが、一般的(?)な非構成的エンカウンターグループはノーモチーフ、ノーテーマでひらかれます。話したくなった人が話し始め、それをきいて話したくなった人が話す。なければ黙っている。それだけで進んでゆく数日間です。
最初の頃友人に伝えると「それ苦行じゃん!」と言われたけど、自分は40代前半あるファシリテーターを招いて開催して「めっちゃ面白い!」と気づき、それから10年間、最長10泊まで試しましたね──。で、毎回「こんなことになるんだ…」と驚いていた。
その10年間は「海外旅行に行きたい」とかそういう欲求が一切消えて、年に一度のそれが世界一周に該当しました。
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でも10年つづけて飽きて止めましたが、最近「自分にもできるかも(ファシリテーター役を)」と思い、再開してみた次第です。昨年は3泊4日、今年は4泊5日。どうなるかな。
テーマも、あらかじめ用意された落とし所もない対話の場がどうなるのか。気になる人や、わけもなく惹かれるものがある方はお越しください。「目的」のない時間を一緒に歩きましょう。
非構成的エンカウンターグループ・4泊5日
2024年10月25日(金)〜29日(火)
穂高養生園/森の家
定員:8名
参加費:72,000円
宿泊費:82,000円(個室は98,000円)
>お申込み(Googleフォーム)
穂高養生園について
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インタビューのワークショップは穂高養生園の「新棟」に、非構成的エンカウンターグループでは「森の家」に滞在します。
これまで穂高養生園に滞在したメンバーが口を揃えて言うのは「ご飯がすごい」ですね。「美味しい」では済まないものがあります。養生園は午前と夕方の一日二食だけど、キッチンスタッフを見ていると、休憩もするけど大半の時間はずーっとトントン、グツグツ、料理をつくっている。美味しいわけだ。
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ジャッジャッと手早くつくる料理の美味しさもありますが、必要な時間と手数を十分にかけた料理の美味しさだな…と、毎年ありがたくいただいています。
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秋の安曇野をご一緒しましょう。
*例年12月末にひらいてきた清里/清泉寮での「インタビューのワークショップ」は今年はお休みします(「年末が都合よい。ひらいて!」という方はご連絡ください。検討します)