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11月と12月のふりかえり|いわゆる新卒一括採用は、なんて雑なんだろう
昨年最後の2ヶ月間だ。IMAXで観た「カリオストロの城」が忘れられない。
10月末日
豊嶋秀樹さんとルシャレで会う。「山と道」の記事のインタビューで、氏は「たぶんいちばん読まれないマニアックな連載(笑)」と嬉しそうに語った。安心してマニアックな話をする。(翌年1月10日に公開)
11月◯日
初めての「Festival de FRUE」。17年前の「ap bank fes」で風灯を展示した丘を見上げながら、つま恋リゾート内の別会場へ向かう。
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朝から晩まで、いろんな音楽家のステージがつづく。入れ替わるのは観客というより音楽家の方なので、本番前のリハが聴き放題だ。リハが大好物な私は結局ずーっと聴いているので、ご飯を買いに行く暇がない。
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角銅真実さんのステージもよかった。1曲目が終わって「あははは」と笑い、別の曲を演り終えたときは「んふ」と漏らしていた。ご満悦。堂々として本当に楽しそう。いまの時代の才能が、どんどんどんどんあらわれてくるな。
二日間の最後は Jean-Philippe Rykiel & Lansine Kouyate 。ピアノとバラフォン。相棒の手につかまって登場したフィリップ(64歳、生まれたときから視覚障害のある方)が、「はじめての日本」「とても快適な滞在で、ほとんどリゾートにいる気分です(笑)」と語り、そこから3回のアンコールを含む素敵な演奏が展開した。
FRUEに限らず、親密な文化交流を重ねている人たちには感謝の気持ちが強い。私たちは県民でも国民でもなく、同じ時代を生きている人間と人間だ。政治的な争いに巻き込まないで欲しい。
11月◯日
日本仕事百貨の年賀企画で、代表の中村健太さんと話す。(翌年1月2日に公開)
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大学の非常勤講師をつとめていた頃「学校の先生って、学生は毎年変わらないのに、自分だけ歳をとっていく仕事なんだなー」と気づいて軽い衝撃をおぼえたが、経営者にも似たところがある。
本人が立ち上げた小さな会社を経営している友人が多い。彼らの人生に関心があります。
11月◯日
先月、友廣裕一さんたちの会社「シーベジタブル」(海藻養殖のベンチャー)をWELCOMEの横川さんたちに紹介。いいですね!!という感じになり、DEAN & DELUCAや飲食チームの視察に便乗して西伊豆の生産拠点を訪ねた。
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30代の頃自分は「デザインは可能性を形にする仕事」だと考えていて、センソリウムなどのプロジェクトに精を出していたが、40代の初めに友廣さんや福岡の田北さん、先の豊嶋さん等と知り合う中「仕事とは出会いを形にすること」という、その頃の自分には新しい光が射し込んできて世界の見え方が変わった。
2009年の「自分の仕事を考える3日間」に参加していた友廣さんは、奈良駅前で人生初のヒッチハイクを試み、一緒に来ていた友人の誰よりも早く東京に帰り着き、その勢いで翌月から日本一周の旅に出た。
その道中に立ち寄った室戸岬で出会ったのが、追って一緒にシーベジタブルを立ち上げる蜂谷さんであり、この日訪ねた拠点にも、人生の別のタイミングで彼らと出会い、いまは一緒に働いている西伊豆出身の若い女性がいた。
彼らの会社の主要メンバーの大半はそんなふうに集まっていて、一般的な求人採用をほとんどしていない。能力と相性を重視していて、ある意味現実的でもある。
その様子を見ていると、大手企業のいわゆる新卒一括採用はなんて雑なんだろうと思う。
11月◯日
トランプが返り咲き、兵庫県では元知事が接戦をくり広げている。で、彼らのような人は、政治家の立場を失っても、別の形で力を発揮しようとするだろう。消えていなくなるわけではないので、この社会で共存することになる。
馬は足が速い。捕食動物に対し被食者にあたる彼らの脚力は、危機を察知したらすぐ逃げるためにある。高い知覚・共感能力は足の速さとセットだ。でも人間はそうでないし、自分にも逃げ足の遅いところがある。
11月◯日
新宿の LIVING DESIGN CENTER OZONE で、どいちなつさんのトークイベントの聞き役の仕事。企画担当の女性(いい人)が事前に設定した質問に「どいさんの一日は?」というのがあり、何時に起床、何時から畑仕事…みたいな答えを想像して『雑誌っぽい(退屈やな)』と思ったけど、起床の話がよかった。
ガバッと起きない、という。目が覚めてから布団の中でもぞもぞしている時間が長く、毎朝ゆっくり起きているそうだ。パートナーとは起きる時間が違うので、朝は一人でコーヒーとトーストの軽い朝食をとりながら、その日にすることを紙に書き出す時間が好きだときかせてくれた。
私も長く「もぞもぞ」する方だけど、最後は自分でも『えっ』と思うくらいガバッと起きるので、ガバッのない一日の始まりが想像できなくてそれがよかった。
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終了後、加藤さんも交え代々木上原で中華料理。何日かして淡路島から葉書が届く。「数日ぶりの自宅、とっても静かで、夜はまっ暗で、でも庭の草の彩りがあざやかにかすれていました。美しいです」。
12月◯日
青木将幸さんと熊野古道を歩く。歩き始めた最初の日の夜に韓国で非常戒厳令が敷かれ、6時間後に解除された。
中辺路は国際色豊かだった。中国、台湾、フランスの方々が歩いていて日本人はむしろ少ない。犬を連れて歩いていた韓国人男性(東京在住)がいて、追いつ抜かれつ短い挨拶を交わす。
歩いているといろんなことを考える。わたしたちは子どもやおじいちゃんお婆ちゃんに至るまで「会社」の物事の考え方や進め方の影響を受けているよな。個人に「ビジョン」を訊く社会ってなんなの?…とか考えながら黙々と歩いていたのは大門王子あたりだったと思う。
あの韓国のひとは、どんなことを考えていたかな。
12月◯日
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2週連続のデザインの授業。ここは20年前に登壇したエコデザインの国際シンポジウムの会場で、壇上で話しながら泣いた。
12月下旬
書き始めた新刊の下ごしらえをコツコツ進める。12名の「就活」の話が面白い。その向こうに「会社」が透けて見える。来月はワークショップの出張が長いので、その前に出来るところまで進めたい。
合間に、歩いて30分ほどのところにある、友人夫妻が自宅に開設したギャラリーを訪ねる。
講座の仕事で長野県立美術館へ。友人が営むゲストハウス(1166バックパッカーズ)に前泊して翌朝美術館に向かう道中、路上に駐まっている車がことごとく凍っていた。ドア、開くんだろうか。
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アートコミュニケーターの基礎講座で「きく力を身につける」という4時間を担当するようになり、もう15年くらいか。最初は東京都美術館で重ねていたけど、いまはいくつかの地方館にも広がっている。
「半日の講座で『きく力』が身についたら世話ない」「でも、意識できるようになれば御の字」と話して始めたが、自分にとっていつになくよい時間になった。
同じ話をくり返していると飽きる。あるファシリテーターが、いつも同じ話を「どうだ!」という表情で語っている姿に苛立ちをおぼえて(そういうときは自分を投影していることが多い)一言物申したとき、彼は「これはもう神話だから」と返してきた。
なるほどねー。神話に「いつも同じ!」と言っても、お門違いか。
大晦日前に高熱で倒れた。君は今年、働きすぎたんじゃないか。