【コラム】#16 嗜好と選択の狭間で
こんにちは、リサ@サブミッシブです。
最近、コーヒーに行き詰まっているという話を、14歳のバイオリニストにしたところ、「Beethovenは1日60粒の豆を挽いて飲んでいたらしい」とのこと。
彼曰く、「豆を自分で焙煎し、理想の豆の粒数を手動ミルで丁寧に挽き、好きな方法で淹れてみたらどう?」 まだ、試せることはたくさんある、と。………しかし、正直、そこまでのやる気はなく、「行き詰まりで十分です。話を聞いてくれてありがとう。」で一旦終了。
次にBeethovenの赤ワインの話へと移行し、晩年、難聴で苦しんだ偉大な音楽家は、ワインの酸味の足りなさを補うために「鉛」を加えていた。今や、鉛の身体への悪影響は周知、ワタシも仕事で扱っていたので注意していたもの。ただ、味覚にそんな影響を与えるとは…… 知らぬもがな、いや、言わずもがな、その味に興味が湧いてきてしまってしょうがない。Beethovenの時代にはそれは解明されておらず、彼は身体の不調原因を知りたがっていたようで、死後、彼の毛髪が残っていたお陰で、後に「亜鉛中毒」に苦しんでいたことが明らかに。
何かをほんの少し加えるだけで自分好みの最高の味に、それが後世に残る数々の名曲を生み出すことの一助となり、しかしその一方で、健康に悪影響が出るというジレンマ。
その味を知ったが故の幸せと、同時に始まった苦悩………
目の前の若い音楽家は、赤ワインよりも赤く染まる布をじっと見ながら、そのワインを飲む…?」と、ワタシに問う。
その時代に居たのであれば、飲んだだろうね、と即答。真正面からの回答を避けたのは卑怯な気もしつつ。そして同じことを彼にオウム返し。
「僕はまだ、ワインの味を知らない…」と、彼も迂回回答。
怒りで窓ガラスを割り、手に軽傷を負った若いバイオリニスト。「…やるなら、手じゃなく足で”壁”相手にやりなさいな。」ガラスは宜しくない、と、その現場で笑いながら言うワタシに、彼の母親は唖然とした表情。
感情をどんな風に出し、手慣づけるかが彼の今の課題の一つ。
…………一体、何の話?(笑)
worst から worse へ、一歩、一歩。
…BESTに着いたら、さらに良いBESTを…、
求めるか、否か?
止血中に、冷静さを取り戻すためにされた雑談。
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by リサ@サブミッシブ
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