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高級消費財/ラグジュアリーEC 売り場設計方法_1

今回はECサイトへ来訪した消費者に自ブランドを選ぶ理由を説明する売り場作りについて話します。以下ファネル図の②の壁を乗り越えて頂くための取り組みです。

高級消費財は機能や価格よりも所有することで気分が高揚するか否かが購入判断軸となります。つまり売り手側はブランドのステータスとデザイン性の高さが納得のいくものであるかということを説明することで、自社ブランドを選んでいただける可能性が上がります。

①まずターゲット顧客(=商品を利用するオケージョン)を絞る
特定のカテゴリでほとんどの消費者に受け入れられるブランドというのは一部のトップブランドに限られ、その他多くは顧客属性が限られているはずです。例えば40代女性が部長職昇進の記念に高級腕時計を探しているとして、ROLEXであればステータスもデザインも優れているものとして大衆認知が進んでいるので購入選択肢に入りやすいですが、CORUMという100万円する時計ブランドを初めて知ってサイト来訪した場合、どこに100万円の価値があるのかわかりません。つまりCORUMはこの方の属性をターゲットと設定するならば、部長職以上のエグゼクティブ層がビジネスシーンで着用することによって見る人から一目置かれ気分が高揚するか?にフォーカスして訴求する必要があります。
ターゲットの設定は自社ブランドのテイスト(クラシックデザインでファッション感度が低い人向け or 先進的デザインでファッション高感度な人向けなど)と既存顧客層(若い or 中高年など)と同じ属性とするのが定石です。
最近はZ世代獲得が経営アジェンダとして流行している事もあり、これまでクラシックなテイストで中高年に支持されているブランドがいきなりZ世代を獲得しようとしていたりしますが、これは新たなデザイナーを迎え入れて商品を抜本的に刷新(例えばLOEWEやDIESELのように)しない限り負け戦となる可能性が高いので、自社が優位に立てるターゲット層を見極めるべきです。

②ブランドのステータス感を演出する
ラグジュアリーブランドのECサイトでは歴史や職人魂を訴求するサイトをよく見かけますが、正直ラグジュアリーブランドはどこも重厚な歴史があり厳選された素材を用いて商品を手間暇かけて丁寧に作っているため、消費者からするとどこも似たような事が書いてあり差別化要因とはなりづらいコンテンツです。
ここでいうステータス感とは自社ブランドがトレンドに乗っていて大衆に憧れられている存在である、だから所有したり身に着ける人が周囲に"ドヤれますよ"と暗示する事です。本当にこの条件を満たしているのは先述の通りトップブランドに限られると思いますので、あくまでその雰囲気を演出することが必要になります。
具体的には設定したターゲット層にとってライフスタイルや人間性が認められているセレブリティやインフルエンサーを起用してアンバサダーになってもらい、しばらく着用・使用してもらいながら(Instagramに投稿含む)ライフスタイルとブランドの関わりと語って頂くなどです。(もし女性エグゼクティブをターゲットとするならば南場智子さんに出演頂いて、「ビジネスの勝負所でつける時計はCORUM。なぜなら・・・」と支持してもらうなど)

■ターゲット顧客のライフスタイルに親和性の高いデザイン性を演出する。
続いてそのブランドを所有もしくは着用した際に自分の部屋なりファッションが格上げされるか?という点もブランドを選ぶポイントです。この期待値を醸成するためにコーディネート写真を中心としたコンテンツを用意すると、より消費者が所有した際のイメージが湧いて自分事化しやすいのと同時に、商品が"映えて"見えます。このためにインフルエンサーに依頼しているとお金がいくらあっても足りないので、一般的な手法は自社店舗スタッフのコーディネイト投稿ですが、ラグジュアリーカテゴリの場合は大衆っぽく見えてはいけないので、端正なルックスのスタッフを販売員兼インフルエンサーとして採用し、コーディネイトから写真の撮り方までしっかりディレクションしながら育成しコンテンツの質を担保することが推奨されます。
ここでも前提条件はターゲット顧客のファッションやライフスタイルにフィットしたコーディネイトコンテンツであることです。(女性エグゼクティブがターゲットであれば、コンテンツもコンサバで洗練されているルック&フィールとするなど)

以上のように、自社と親和性の高い顧客に絞って売り場を演出することと、演出方法はステータス感を伝えながらリアルな所有/着用事例を提示することで、消費者から「自分に合ってるブランドだ」と思って頂ける可能性が高まります。


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