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【違和感】映画『コントラ』は、「よく分かんない」が「よく分かんないけど面白い」に変わる不思議な作品

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「自分は何を見せられているんだろうか?」という感覚が強烈だった映画『コントラ』は、とても面白い作品だった

意外なことに、とても面白い映画でした。「意外」という言葉の意味は後で説明するとして、まずはざっくり内容の紹介をしておきましょう。

まずは内容紹介

田舎町に住む高校3年生のソラは、退屈な日常に倦んでいた。そんなある日、唯一慕っていた祖父が突然亡くなってしまう。ソファに座ったまま亡くなった祖父の足元には、直前まで手元にあったのだろう手帳が落ちていた。パイロットだった祖父の戦時日記である。

家族の誰も知らなかったのだが、祖父にはどうやらスケッチの才能があったようだ。綺麗なタッチで描かれたイラストと、そこに添えられた日記を見たソラは、このクソ退屈な毎日を吹き飛ばすような何かがあるような予感を得て、のめり込んでいく。

一方、ソラとその父親は、近所でとても奇妙な男と遭遇する。その男は何故か、ずっと後ろ向きに歩き続けているのだ。理由は分からない。話しかけてみても何の返事もないからだ。何の言葉も発さないし、掛けられた言葉を理解しているのかさえ分からない。

祖父の死と、後ろ向きで歩く男との邂逅。この2つの出来事が、ソラを日常の外側へと連れ出して行くことになり……。

「意外に面白かった」という感覚になった理由

まずは「意外」という感想の意味を説明しておきましょう。

このブログの中では何度も書いていますが、私は基本的に「映画館でしか映画を観ない」と決めており、さらに、「作品についてほとんど調べないまま観る映画を決める」ことにしています。私が参考にするのは、「3行程度の内容紹介」「タイトルやメインビジュアル」「予告」ぐらいで、他人のレビューも読まなければ、監督や役者の名前で決めることもほとんどありません。「実話がベースになっている」と言われると割と観ようという気分になりますが、基本的には「なんとなくの印象」だけで決めているという感じです。

映画『コントラ』も、ほぼどんな内容なのか知らず、予告とメインビジュアルだけで観ることに決めました。本作は自主制作映画なのですが、その事実も、上映後のトークショーで初めて知ったぐらいです。

さて、そんな状態で観始めたわけですが、映画が始まって割と早い段階で、「何この映画?」みたいな感覚になりました。観ていても、なんのこっちゃ全然分からないのです。というか、この「なんのこっちゃ全然分からない」という感覚は、結局映画を観終えるまで続きます。最後の最後まで、分かったか分からなかったかで言うなら「分からない」作品でした。そんなわけで、割と早い段階で、「うーん、ちょっと今回は大ハズレを引いたかなぁ」と思っていたのです。

ただ、途中からどんどん面白くなっていきました。正直、「何が面白かったの?」と聞かれても、上手く答えられる自信はありません。先程書いた通り、結局最後まで「全然分からない」作品だったのですが、ただジワジワと、「よく分からないけど面白い」という感覚に変わっていったのです。私としても、かなり不思議な感覚でした。

私が「つまらない」と感じる作品は、大別して2パターンあるように思います。「ストーリーが難解or意味不明」「ストーリー以外の要素で評価されている」の2つです。前者はまあ理解してもらえると思うので、後者の説明をしましょう。

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