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【狂気】入管の収容所を隠し撮りした映画『牛久』は、日本の難民受け入れ問題を抉るドキュメンタリー

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日本の入管は酷すぎる。その実態を隠し撮りした映画『牛久』は、日本の難民受け入れ問題を改めて再認識させる衝撃作だ

映画『東京クルド』で描かれる現実も酷かったが、映画『牛久』はもっと酷い

私は、映画『東京クルド』を観るまでは正直、「日本に暮らす難民」が置かれている状況についてまったく何も知らなかった。本当に初めてその実態を知り、あまりにも驚愕させられてしまったのである。日本はとんでもなく「イカれた国」なのだと、否応なしに理解させられる作品だった。映画『東京クルド』も、是非多くの人に観てもらいたい作品だ。

さて、映画『東京クルド』と本作『牛久』は、どちらも「難民」を扱う作品だが、描かれている現実はまったく異なる。まずはその辺りの話から始めようと思う。

映画『東京クルド』では、難民2世の若者2人がメインで映し出される。彼らは、幼い頃に両親と共に難民として日本にやってきた。つまり、「ほぼ日本で生まれ育った」と言ってもいいぐらいの生い立ちなのである。彼らは共に日本語がペラペラで、正直なところ、「言葉遣いが適当な日本の若者」と比べれば、圧倒的に正確な日本語を使えていると思う。小学校から日本の学校に通っているのだから、まあ当然と言えば当然だろう。生まれた国こそ確かに別の国だが、彼らにとってそこは単に「母国」でしかなく、「故郷」とは思えない場所だ。2人には、日本こそが「故郷」なのである。

しかしそんな彼らは、難民申請が通らない限り「仮放免」という状態にあり、就労さえ認められていない。そんな若者たちが日本でどのように生活しているのかを追うドキュメンタリーが映画『東京クルド』である。

では、「仮放免」とは一体何なのか。この点を理解するためにはまず、日本に難民としてやってきた者がどのように扱われるのかを理解する必要がある。

日本にやってきた時点では、まだ日本は彼らのことを「難民」とは認定していないため、彼らの立場はあくまでも「難民申請を待つ者」でしかない。当然、「難民と認定されていない者」には「日本で生活する権利」が制約されることになる。そしてその制約の1つが「入管の収容施設への収容」というわけだ。要するに、「あなたはまだ申請者でしかないのだから、難民として認定されるまではこの収容施設に入っていて下さいね」という話であり、そして、この「収容施設」から「仮に放免されている状態」がと呼ばれているの「仮放免」である。イメージとしては、「刑務所からの仮釈放」みたいな感じでいいと思う。「本来は収容施設にいなければならないが、一時的に施設から出している」という状態なのである。

つまり、「仮放免」の状態では「日本で生活する真っ当な権利を持っていない」ということになるし、だからこそ就労も禁止されているというわけだ。「そんな状態で一体どんな風に暮らしているのか?」を追うドキュメンタリーが映画『東京クルド』なのである。この映画は本当に、是非観てほしい作品だ。

一方、「収容施設」は申請者で溢れ返っている。その理由は実にシンプルだ。「日本が難民をほとんど認定しないから」である。具体的な数字は以下にリンクしたサイトを見てほしいが、他の先進国と比べると、認定数では100倍から200倍、認定率でも10倍ぐらいの差があることが分かるだろう。日本はとにかく、「異常なぐらい難民認定をしない国」なのである。

こうして、「難民申請を待つ者」はどんどんと増える一方で、「難民認定される者」が少ないため、「収容施設」は常に一杯ということになるわけだ。
 
さてここで、私の立場を明らかにしておこう。まず、「国が難民を受け入れるか否か」はその国の自由であり、「単に『難民を受け入れていない』というだけで非難するのは正しくない」と思っている。私は、個人的には「どの国も難民を受け入れるべきだ」と考えているが、国家としてその考えに賛同しない国があるのも当然だと思っているし、自分が住む日本がそういう決断をしているのであればそれも仕方ない、というのが私のスタンスだ。
 
ただ、映画『牛久』では、「日本が世界に『難民を助けるつもりがある』とアピールしている証拠」が提示されていた。G7伊勢志摩サミットにおける各国の合意文書からの抜粋と思われる文章が作中で引用されていたのだ。そこに書かれていた内容を要約すると、「難民を率先して助けます」となる。つまり日本は、G7各国とのそのような合意を結んだ国というわけだ。
 
日本が世界に向けて、「我が国は難民を受け入れるつもりがない」と主張しているのなら、百歩譲って許容できるだろうと思う。しかし日本は現状、「我が国は難民を受け入れるつもりがある」と言っているのだ。にも拘わらず、他の先進国とは比較にならないほどの受け入れしか実現していないのは、マジでクソだなと感じる。

日本が世界に向けて「難民の受け入れなどしない」と宣言しているのであれば、現状を許容する余地も生まれ得るだろう。しかし、少なくとも今のところは「難民を受け入れる」と主張しているわけで、そうであれば日本の難民が置かれている現状を許容するつもりはない。これが私の基本的な考えである。

収容者が訴える、あまりにも辛い現実

本作『牛久』は、茨城県牛久市にある入管の施設に収容された者たちを映し出す作品だ。その撮影手法はなかなかに驚くべきものなのだが、その点に触れる前にまず、彼らの「言葉」を届けておこうと思う。彼らが語る話には「日本」に対する痛烈な”皮肉”も多く、日本人なら心が痛むはずだ。

「日本はおもてなしの国」だなんてよく言うよな。これがおもてなしか?

東京オリンピックが延期になったそうだね。嬉しい。正義が金メダルを獲ったような気がするよ。

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