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【驚愕】これ以上の”サバイバル映画”は存在するか?火星にたった一人残された男の生存術と救出劇:『オデッセイ』

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「火星でのサバイバル」と「究極の救出劇」を描き出す、壮大なスケールとリアリティを両立させた傑作

凄まじい映画だった。ジャンル分けするなら「SF」なのだろうが、この映画に登場する科学技術はすべて、現代の科学の知見の範囲内で描かれている。火星への有人飛行も実際に計画されているはずだ。だから、確かにSFではあるのだが、現実がもうすぐそこに追いつくことは間違いない。

だから作品のリアリティは圧倒的だった。「実話を基にしている」と表記されても不自然ではない作品だ。

まずは内容紹介

アレス3で火星に到着し、長期滞在しながら調査を続けている6名。アキダリア平原を拠点に、各々がそれぞれの専門分野の知見を持ち寄りつつミッションを続けている。

ある時、異常を知らせる警告が鳴り響いた。予想よりも遥かに強大な嵐がアキダリア平原に迫っていると知らせているのだ。取り決めでは、7500ニュートンを超える力が加わる場合ミッションは中止とされている。しかしその嵐は8600ニュートンもの力をもたらすと予測されていたのだ。マーク・ワトニーは、誤差を含んだ数値だから様子を見るべきと主張するが、船長はミッションの中止を決断した。大嵐を突っ切って火星脱出用のロケットに乗船、地球への帰還を目指すと決まる。

視界ゼロの中、ロケットを目指す一行。そんな中、嵐に飛ばされた何らかの物体がマークに直撃、彼の宇宙服が破損したことを知らせる警告が届く。通信が途絶えたマークを探そうとする船長を他のクルーが止めた。ロケットは嵐によって倒壊寸前まで傾いている。宇宙服ももう限界に近い。マークは死んだ。そう判断して、残りの5人で火星を後にすることに決めた。

クルーから連絡を受けたNASAは、マークの死をマスコミに伝える。壮大な葬儀が執り行われ、「彼の死を無駄にしないためにも、NASAは今後も宇宙探査に注力していく」とNASA長官はスピーチした。

そんな長官は、衛星の使用許可を求める火星プロジェクトの統括責任者に「NO」と返す。統括責任者は、衛星を利用しマークの死を確かめて報告すべきだと主張するが、長官は、「マークの死体が映る可能性がある衛星の使用」を認めないという立場を堅持した。それでも粘り強く説得を繰り返し、長官からどうにか衛星の使用許可を取り付ける。そして統括責任者は担当者に、アレス3のクルーがいた火星居住用のセル周辺をチェックするように指示をした。

そこで担当者は、信じがたい光景を目にすることになる。セル周辺の人工物が移動していたのだ。まさかマークが生きているというのだろうか……。宇宙服が破損した状態で生存できるはずもないが、それでもNASAは「マークは生きている」と判断した。ただちに救出作戦が立案され、さらに、どうにかしてマークと通信を取ろうと試みる。

素晴らしいことに、マークはどうにか生き延びていた。しかし彼は、残酷な現実に直面する。地球と火星のあまりの遠さ故に、次に火星に有人機が来られるのは4年後だ。生活していたセルは31日居住用でしかなく、当然備蓄食糧が尽きることも分かりきっている。

さらに、ただ生き延びるだけでは意味がない。彼は現状、地球と通信ができずにいる。自分が生きていることもどこにいるのかも伝えることができないのだ。こ状況で地球への帰還を果たすためには、4年後にアレス4が着陸する予定地点に辿り着いていなければならない。それは、今マークがいる場所からなんと3500キロも離れている。

あらゆる状況が絶望的だ。しかしマークは決して諦めない。

科学を武器に生き残る。

彼はそう決意し、科学的知見をフル活用して、目の前の問題を1つずつ解決していく……。

マークが生き延びた方法を少しだけ紹介

さて、物語の設定や展開から容易に想定できる通り、マークは見事生き延び、地球への帰還を果たす。この事実は書いてしまってもネタバレではないだろう。さすがに、そうでなければ物語として成立しない。

映画の焦点は、「どうやって」にある。あらゆる状況が絶望的でしかない環境で、マークはどのように闘いに挑むのだろうか。少しだけ紹介することにしよう。

まず、食料の確保が重要だ。セルに備蓄されていた食料は、そのほとんどがパックされた「宇宙食」だっただろうが、「感謝祭」を祝うために持ち込んだじゃがいももあった。植物学者であるマークは、このじゃがいも使って「火星でのじゃがいも栽培」に挑むのである。

さて、食料以上に重要なのが水だ。セルには水再生機がある。とりあえずこれが故障しない限り、当面の生活に必要な水は確保できる。しかし問題は、じゃがいもを栽培するための水だ。マークは126㎡の畑を作ったのだが、この畑を維持するには1㎡につき40リットルもの水が要る。そんな大量の水を火星でどう生み出すか。彼は、船内に残っていたイリジウム、クルーの1人が残していった木製の十字架、そして化学の知識を使って大量の水を生み出すことに成功する。

こうやって、最低限生きていくだけの環境は整えた。しかしやはり、この状態を4年も続けていくことは相当困難と言わざるを得ないだろう。となれば、どうにかして地球と連絡を取らなければならない。

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