【斬新】フィクション?ドキュメンタリー?驚きの手法で撮られた、現実と虚構が入り混じる映画:『最悪な子どもたち』
完全版はこちらからご覧いただけます
映画『最悪な子どもたち』は、現実と虚構の境界が曖昧な、フィクションともドキュメンタリーとも言えそうな奇妙な作品だった
映画を観ながらずっと、「これはフィクションなのか? ドキュメンタリーなのか?」と考え続けていた
ある意味で、他に類を見ない凄まじい映画だった。なにせ私は、映画を最後の最後まで観ても、「フィクション」なのか「ドキュメンタリー」なのか明確には判断できなかったのだ。
私は常に、これから観る映画の内容や評価を極力知らない状態で映画館に行くようにしている。本作でも、それは同じだ。ただなんとなく、「フィクションなんだろうな」という漠然としたイメージは持っていた。メインビジュアルなどの印象から、「ドキュメンタリー」には思えなかったからだ。
しかし本作は、粗っぽい映像による「オーディション」らしき場面から始まった。それを観て私は、「あぁそうか、実はドキュメンタリーだったのか」と考え直すことになる。本作の始まり方は、間違いなく「ドキュメンタリー」だと言えるだろう。
ただその後は、「フィクション」のように物語が展開していく。どうやら、冒頭で映し出されたオーディションで選ばれた子どもがメインの役どころを演じているようだ。となれば、「全体としてはフィクションだが、冒頭にイレギュラー的にオーディションのシーンを組み込んだ」と考えるのが自然だろう。
しかし、そうではないことが明らかになる。ある場面で突然、「カット!」という声が上がるからだ。そしてその後、「映画を撮影している様子」がカメラに収められていく。映画のメイキング映像みたいな感じをイメージしてもらえばいいだろう。映像の雰囲気的には決して「ドキュメンタリー」っぽくはないのだが、ただここには「ドキュメンタリーっぽい」と思わせる要素が含まれていることが段々分かってくる。
というのも、作中で撮影している映画は『北風に逆らえば』というタイトルなのだが、それはどうやら「主演を務める4人の少年少女それぞれの『実際の人生』を取り込んだ物語」になっているようなのだ。4人の少年少女にはそれぞれ「普段の日常」があり、そしてその「普段の日常」の延長線上にあるような物語として映画『北風に逆らえば』の撮影が行われているのである。
だから、前言を撤回する形にはなるが、「映画のメイキング映像」みたいな感じではやはりない。単に「役者の撮影風景を外側から捉えている」みたいなものではなく、「『ほぼ本人役』みたいな役柄を演じている撮影現場と、そんな彼らが過ごす普段の日常との境界が曖昧になっていく」みたいな映像になっているというわけだ。
このような作品だったこともあり、結局最後の最後まで、「フィクション」なのか「ドキュメンタリー」なのか分からないまま映画が終わった。普段なら鑑賞の途中でどちらかの確信が持てるのだが、そうはならなかった「かなり稀有な作品」である。
鑑賞中に検討していた複数の仮説について
さて、詳しいことを知らずに映画を観ると、答えを知る前に色々と検討してみることが出来る。というわけで、映画を観ながら私が考えていたいくつかの仮説について触れておこうと思う。
まず、本作『最悪な子どもたち』を構成する要素を3つに分解してみよう。
それでは、この①~③の要素を踏まえた上で、考え得る可能性について検討したいと思う。恐らく可能性は、以下の3つに絞られるだろう。
何を知らずに本作を観た場合、この3つの選択肢からどれかに絞ることはなかなか難しいだろうと思う。実際のところ、③の映像はかなりフィクションっぽい感じがするので、③がドキュメンタリーである可能性は低いだろうと考えてはいた。ただ、可能性がゼロということもないだろう。そして結局、映画を最後まで観てもよく分からなかったので、公式HPを見てみることにした。
これ以降は、ブログ「ルシルナ」でご覧いただけます
ここから先は
¥ 100
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?