立方体がテーマのアートの本(Artist Book)を手づくり!
⒈ 美術家ブルーノ・ムナーリ
私がアーティストブックをつくり始めたきっかけは、イタリアの美術界の巨人ブルーノ・ムナーリBruno Munari (1907-1998)を知ったことです。名著『ファンタジア』や「かたちの不思議」シリーズ『正方形』『円形』『三角形』はもちろんのこと、『きりのなかのサーカス』『闇の夜に』など数々の絵本に至るまで、いつ開いても新しい発見があり、飽きることがありません。
上記の写真に写っている本のクレジットは以下のとおりです。
① IL QUADRATO
LA SCOPERTA DEL QUADRATO
Bruno Munari
©1960 Bruno Munari
Tutti i diritti riservati alla Mauricio Coeraini s.r.l.
Prima edizione 1960 Scheimiller, Milano
1ª edizione 2005 Corraini, Mantova
② IL CERCHIO
LA SCOPERTA DEL CERCHIO
Bruno Munari
©1964 Bruno Munari
Tutti i diritti riservati alla Maurizio Corraini s.r.l.
Prima edizione 1964 Scheiwiller, Milano
1ª edizione 2006 Corraini, Mantova
③ 三角形
ブルーノ・ムナーリ かたちの不思議3
2010年11月12日 初版第1刷発行
著者 ブルーノ・ムナーリ
訳者 阿部雅世
装丁 アヴェ・デザイン研究所
発行所 株式会社平凡社
彼はまた、日本の折り紙にも深い関心を抱き、研究した人でもありました。
⒉ ブルーノ・ムナーリに触発されて
ー折り紙で作る立方体とアーティストブック『CUBE』の関係ー
私もまた折り紙や絵本を愛する者。ムナーリさんの仕事を知るにつれて、あるアイディアが浮かびました。
折り紙で立方体を作るときにできる折り線をテーマに、手づくりのアートの本(この記事では以下、アーティストブックと呼ぶ)をつくったらおもしろいのではないか、と。
折り紙に使う正方形の紙は、そのままでは平面ですが、のりもハサミも使わずに立体物ができる秘密が、折り線にあります。折り上がった作品を崩して元の紙に戻したとき、紙の上に現れたたくさんのラインが交叉・平行するさま、複雑な関係性(relationship)を示す美しさにうっとりするのは私だけではないと思います。
もしかしたら、このアーティストブックは、平面と立体を自由に往き来する「魔法の扉」だ!と言えるかもしれません。(˶^ᵕ^˶)b
作成にあたって、我らがマエストロ・ムナーリの「読めない本」シリーズを大いに研究し参考にさせていただきました。"造形のファンタジスタ" ムナーリに感謝!
⒊ 作成したアーティストブック『CUBE』とはどんなモノ?
⒋とっておきのおまけ「空想の補助線」について
最後に、折り紙に関係するおもしろいエッセイ集をご紹介します。
前川 淳 著
『空想の補助線 幾何学、折り紙、ときどき宇宙』みすず書房刊
折り紙と数学、パスタの幾何学、デューラー・コード、星の話、折り紙の歴史、紙飛行機の話、あやとり、堀 辰雄と数学者、千羽鶴の話‥‥科学と美術の壁を越えて縦横無尽に往き来する内容に魅せられます。
以上、折り紙とアーティストブックのコラボレーションをお楽しみいただけたでしょうか。
アーティストブックについては、日本でどの程度認知されているのかわかりませんが、次のように言えると思います。
「アーティストが自身の作品や活動を、本の形で制作・発表する美術のジャンルである」
最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。
クラシック音楽と本と💙さえあれば。またの出会いを楽しみにしております。ごきげんよう!
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