ラテンを直に感じ、酔いしれよ!ペドロ・アルモドバル監督『キカ』(1993)
あらすじ
陽気で饒舌なメイクアーティストキカを中心として奇抜な衣装のTVレポーター、妻殺しの疑いのある小説家、レズビアンのメイド、脱獄犯のポルノ男優といった一癖も二癖もある登場が織りなす愛憎コメディ。
何処をどう切り取ってもラテン
この映画が他とは違う非凡な物を持っていることはオープニングから明らかだ。カギ穴から服を脱いでいる女をシルエットにして大音量で『KIKA』。赤いタイトルが浮かび上がってくるさまは圧巻で思わず口を開けてしまっていた。
ブロンド髪の姉ちゃんがハスキーボイスを効かせながらスッポンポンで月夜に歌うシーンにしろ、セックスシーンにしろ、セット、音楽。何から何までラテン、ラテン、ラテン。ちょうどあの辺りの太陽のギラギラ輝くかの如く、異国的情緒が画面の中にびっしりと埋め込まれている。
おまけにこの映画に出てくる人間何処か頭のネジが
外れていて、基◯外なのだ。そんな基◯外どうしの混ざり合いをカラフルな背景とスペイン語の発音と一緒にみせるから、みてるこちら側はめまいがしてくる。この映画に呑まれている証拠だ。
ラテンの底力を愛憎コメディで見せ付け、官能、そこからうまれる狂気、そしてあのあっけなさを含んだトドメ必殺一撃のラストシーン、ペドロ・アルモドバル監督は天才としか言いようがない。
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